研究課題/領域番号 |
19K22107
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分28:ナノマイクロ科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
浅岡 定幸 京都工芸繊維大学, 材料化学系, 准教授 (50336525)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 光電変換 / 人工網膜 / 励起子移動 / フォトダイオードアレイ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、我々がすでに開発に成功している、シリンダー型のミクロ相分離界面をテンプレートとして、植物のアンテナ色素系を模した色素分子が環状に配列した構造体を多層集積化した薄膜材料(ZnP-lBC)を基に、(1) 可視光の広い波長範囲に対応するために、ダウンコンバージョンによるエネルギー輸送経路を組み込み、(2) 視細胞との接合界面で効率よく電荷生成できるように、電荷分離サイトを導入することで、人工網膜に適用可能なナノ光電変換素子アレイ薄膜の作製を目指す。
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研究実績の概要 |
(1) 色素のバリエーション拡充とダウンコンバージョン経路の導入:親・疎水鎖の連結部にアジド基を有する短鎖の側方置換基を導入した、両親媒性液晶ブロック共重合体の合成経路を確立した。これにより末端アルキンをもつ金属錯体をClick反応によって導入することが可能となった。現在、種々の分子構造を有する金属錯体の導入を検討し、反応条件の最適化を試みている。 (2) 電荷分離サイトの導入・光電変換特性の評価:電子受容体としてメチルビオロゲン、電子供与体としてCuIを用い、溶液浸漬によるシリンダー部への導入を行った。得られた薄膜に対して、導電性チップを用いた走査プローブ顕微鏡測定(KFM測定)を行うことにより、表面電荷のマッピングを試みた。なお、今年度は前年度のAM-KFM法よりも高分解能が期待されるFM-KFM法を採用し、併せてスーパーシャープ探針を用いて測定を行ったが、AM-KFM法と同様に光照射による電荷量の増大は観測されたものの、局所電荷の面内マッピングには至らなかった。現状の無機半導体を浸漬によりシリンダー部に導入する手法では、電極まで繋がった電荷輸送経路が構築されている保障はないため、観測に十分なS/N比が得られる程の電荷が生成できていないものと考えられる。 一方で、S/N比を改善するための施策として、マトリクス部に電荷輸送経路を導入する手法についても検討を開始した。液晶メソゲンにジアセチレンユニットを導入したlBCを用い、成膜後に紫外線照射することでトポケミカル重合させ、マトリクス部に導電性を有するポリジアセチレンを生成させる手法を検討した。現在までに数種のメソゲン構造について検討し、シリンダー型のミクロ相分離構造の形成を確認している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
KFM測定のために自前のSPMに装着する電気化学オプションが製造中止となったため、昨年度以来、メーカーの研究所所蔵の機器による測定に頼らざるを得ず、測定に大幅な遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
(1) 色素のバリエーション拡充とダウンコンバージョン経路の導入:側鎖アジド基をもつ両親媒性ブロック共重合体に対して、末端アルキンをもつ各種金属錯体、有機色素をClick反応により導入し、引き続きバリエーションの拡充を進める。 (2) 電荷分離サイトの導入:シリンダー内部に電極(基板)表面まで確実に繋がった電荷輸送経路を導入するため、透明電極上にlBCを成膜した電極を用いた電解重合法を採用することにより、シリンダー内部にPEDOTやポリアニリン等の導電性高分子の導入を検討する。併せて、ポリジアセチレンの光トポケミカル重合によるマトリクス部への電荷輸送経路の導入についても検討を進め、S/N比の改善を目指す。 (3) 光電変換特性の評価:(2)で得られた薄膜を用い、再度FM-KFM法による表面電荷マッピングを検討する。
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