研究課題/領域番号 |
19K22123
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 顕一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00634982)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 水素結合 / モット絶縁体 / 確率共鳴現象 / 量子常誘電 / 量子スピン液体 / 有機導体 / 誘電率 / 光学伝導度 / プトロン / 量子常磁性 / プロトン / 確率共鳴 / 磁化率 / ノイズ測定 / 分子性有機導体 |
研究開始時の研究の概要 |
確率共鳴現象とは,ノイズを活用し,微弱な信号を増幅しつつ伝達する非線形現象である。本研究の目的は,有機固体結晶中において,確率共鳴現象を利用することで,本来排除すべきであったノイズを有効活用し,次世代に向けた低エネルギー消費デバイスの原理を確立することである。具体的には,水素ダイナミクスとπ電子が互いに強く相関した水素結合型有機導体において,外部刺激としてノイズを印加することで,確率共鳴現象を利用した伝達信号の増幅を実証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、一連の水素結合型モット絶縁体において、誘電率測定および磁化率測定を極低温まで行い、これらの物質物質群において、量子常誘電性と量子常磁性が共存した新しい量子液体状態が実現していることを明らかにした。本研究により見出されたプロトン自由度による量子スピン液体状態は、電荷や軌道といった電子自由度とも、乱れによる構造自由度とも異なる、いわば第三の自由度に基づく量子スピン液体状態である言える。これは新しい量子液体の発現機構として興味深く、その背後には、物質中で最も軽量なイオンであるプロトンの顕著な量子性およびプロトン-π電子間に働く相互作用が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
量子スピン液体は高温超伝導との関連も指摘されており、その発現機構の解明は物性物理学における重要な研究課題である。特に二次元三角格子において、どのような機構により、量子スピン液体状態が安定化するのかを明らかにすることは極めて重要な課題である。本研究成果は、量子スピン液体安定化のメカニズムとして、電子自由度や乱れではない、第3の自由度であるプロトン自由度を提唱するものであり、量子スピン液体の実現に対して、新たな設計指針を与えるものである。
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