研究課題/領域番号 |
19K22128
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長久保 白 大阪大学, 工学研究科, 助教 (70751113)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 超音波 / ピコ秒超音波法 / ポンププローブ法 / フェムト秒パルスレーザ / 横波 / 弾性定数 / ナノワイヤ / ピコ秒 / ポンプ・プローブ法 / 光 / ホットエレクトロン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では任意の試料に対するサブTHz帯の横波超音波計測法の確立を目指す。フェムト秒パルスレーザーを用いた横波超音波法は未だに特定の結晶の軸を傾けた例に限られている。そのためナノ薄膜のヤング率やポアソン比といった重要なパラメータは未だに計測する手段がなく、横波超音波法の開発はこの分野の最後の課題の一つである。そこで申請者はフェムト秒パルスレーザーを用いて励起したナノワイヤ中のホットエレクトロンと静磁場によるローレンツ力を用いる手法を提案し、機能性薄膜やナノ多結晶ダイヤモンドなどの横波音速やヤング率・剛性率の計測を目指す。
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研究成果の概要 |
フェムト秒パルスレーザを用いたピコ秒超音波計測は目覚ましい発展を遂げてきたが、未だに一般材料に対する横波の励起・検出は達成されていない。そこで本研究では一部の圧電体や特殊な結晶軸の材料以外にも広く適応することができる横波ピコ秒超音波法の開発を目的とした。電子線リソグラフィの描画条件を調整することによって最小幅100 nmの寸法を持つ独自デザインのナノワイヤを作製し、幅500 nmのナノワイヤ上においても高周波縦波超音波の励起検出に成功した。更に垂直磁場中でポンプ光の照射箇所をずらしつつプローブ光を斜めから入射させることにより横波によるBrillouin振動の可能性を示す信号の取得に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
横波はせん断変形、つまり原子の結合角の変化に起因する変形であり、伝播方向と垂直方向の振動成分のみを有するため、材料物性の解明およびセンサへの応用に向けて学術的・工学的に横波ピコ秒超音波法の確立は重要である。本手法により今後様々なナノ~マイクロ材料中の横波音速及びせん断弾性率の計測が達成されれば薄膜のヤング率やポアソン比なども決定でき、ナノマテリアルの強度により密接に関連した力学特性を評価することが可能になる。その結果、現在の無線通信で使用されている音響バンドパスフィルタの材料設計や薄膜中の欠陥が強度に与える影響を解明するなど、ナノ材料の音響・力学特性の解明が飛躍的に発展すると考えられる。
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