研究課題/領域番号 |
19K22135
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分29:応用物理物性およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
南任 真史 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (90300889)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 原子操作 / 低温STM / 分子グラフェン / トンネル電子分光 / エッジ状態 / 超伝導ギャップ / マヨラナフェルミオン / Yu-Shiba-Rusinov状態 / 人工グラフェン / トポロジカル絶縁体 / トポロジカル超伝導体 / 走査トンネル顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
低温走査型トンネル顕微鏡(STM)を用いた原子操作により、固体表面の吸着種を自由に動かし任意の格子を形成することで、トポロジカルに異なる様々な仮想物質を創り出し、その特性を調べる。実際には、Cu(111)面及びその表面にPbの単原子層や超薄膜層を形成した基板上で、吸着CO分子の準安定的な三角格子を形成し周期ポテンシャルを導入する。Cu(111)面をPbで修飾することで、表面の二次元自由電子系にスピン軌道相互作用や超伝導クーパー対を導入し、グラフェン、二次元トポロジカル絶縁体、一次元トポロジカル超伝導体など様々な相を創り出す。STM/STS観察やトンネル電子分光を行って、電子状態とその実空間分布を原子スケールで観測する。
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研究成果の概要 |
低温超高真空STM装置を用いた原子操作により、人工的なトポロジカル相形成を目指した。Cu(111)面上にCO分子で分子グラフェンを形成し、armchair端・zigzag端それぞれの位置でトンネル電子分光を行なったが、エッジ状態に対応する有意な差は観察されなかった。次にマヨラナ束縛状態の創出を狙って、Pb(110)面上にFe原子の一次元構造の形成を試みた。原子分解能が得られトンネルスペクトルに超伝導ギャップが観測される表面上で、Feの孤立原子の操作に成功したが、この系ではFeとPbの結合が強すぎて容易にdimerが形成されることが判った。より理想的な系を探索すべく引き続き実験を行なっている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
走査型トンネル顕微鏡を用いて極低温・超高真空という環境下で、固体の表面において原子や分子を一つ一つ動かして、一次元や二次元の構造を人工的に作り出す原子操作の実験は、30年の歴史がありながらその難易度の高さから未だ十分には行なわれていない。特にこの手法を物質探索に用い、ターゲットに近年発見されたばかりのトポロジカル物質を含める試みは殆ど手付かずであることから、成功すれば物質科学に新たな分野を切り開く可能性があり、社会に与えるインパクトも大きいと考えられる。
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