研究課題/領域番号 |
19K22141
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分30:応用物理工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中村 一隆 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (20302979)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 量子経路干渉 / フェムト秒 / 量子コヒーレンス / コヒーレントフォノン / フェムト秒パルス / 超高速現象 |
研究開始時の研究の概要 |
フェムト秒光パルス対を用いて、物質の光励起過程に存在する複数の量子力学的な遷移経路の干渉の様子を計測する、超高速量子経路干渉計を開発し、その実用性を実証する。フェムト秒パルスを超高精度の干渉系を用いて生成した光搬送波の相対位相まで制御したパルスペアによって固体中の電子・フォノン結合量子状態を励起する。励起後の終状態をプローブパルスの過渡的な透過率および反射率の変化としてポンプ・プローブ時間分解計測法により検出する。二つの励起パルスの間隔を光振動周期よりも短いアト秒の制度で制御し、いくつかの励起量子経路による干渉を反射率・透過率の時間変化に現れる干渉縞により検出するシステムを開発する。
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研究成果の概要 |
相対位相および偏光を制御したフェムト秒パルス対を用いて,物質中の光励起過程中の複数の量子力学的な遷移経路の干渉の様子を計測する超高速量子経路干渉測定法を開発した。GaAs単結晶を用いた平行偏光パルス対照射では電子干渉とフォノン干渉が観測されるのに対して,直交偏光パルス対照射ではフォノン干渉だけが観測された。電子フォノン相互作用の偏光依存性を考慮した量子経路干渉の理論モデルを構築し,誘導ラマン過程での量子経路干渉で実験結果をよく再現することができた。GaAs/AlGaAs量子井戸におけるエキシトン量子ビートでは光吸収過程の経路干渉に対応する干渉パターンを得ることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究で開発した超高速量子経路干渉計法により,光励起過程の終状態の解析だけでは知ることのできない凝縮系物質内の光遷移過程中の量子経路を,干渉縞のパターンから選別することができた。量子経路干渉の様子の計測は,現象を量子力学的な立場から理解する上で必要不可欠である。これにより,支配的な経路の同定やどの経路の干渉が量子力学特有の現象を引き起こしているのかの情報を与えるものである。この方法は,量子経路まで含めた新しい物質科学への応用が期待される技術である。
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