研究課題/領域番号 |
19K22151
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分31:原子力工学、地球資源工学、エネルギー学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山路 恵子 筑波大学, 生命環境系, 教授 (00420076)
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研究分担者 |
田中 万也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主幹 (60377992)
香西 直文 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 先端基礎研究センター, 研究主席 (80354877)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ヨシ / 内生細菌 / 重金属 / 重金属蓄積 / 鉱山 / 自生植物 / 土着微生物 |
研究開始時の研究の概要 |
水質浄化に関わる水生植物のヨシには、ウランや重金属を蓄積することが判明している。ヨシの浄化機能を高めるためには、植物の元素蓄積機構において寄与度が高い微生物との複合共生系を考慮する必要がある。これまでの研究によって、根の細菌がつくる化合物によって、ヨシにおける重金属吸着能力が増強される可能性が示唆されているが、本研究ではそのメカニズムを解明する。
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研究実績の概要 |
これまでの研究成果として、U鉱山の鉱さいたいせき場で自生している湿生植物のヨシは、Fe、Mn及びUを蓄積しており、ヨシは根の周囲に鉄プラーク(90%がフェリハイドライド)を形成することで、Uや金属元素の蓄積部位として機能している可能性を示した。今年度は、内生細菌のシデロフォアが関与した鉄プラークの形成機構の解明を中心とした研究を実施した。細菌の産生する代表的なシデロフォアにはcatechol骨格を有するものが多く存在するが、catechol骨格を有する化合物はFeと沈殿を生じるということが知られている。以上を踏まえ、調査地のヨシに確認された鉄プラークの形成に内生細菌の産生するシデロフォアが関与する可能性を考え、実験を行った。 根より内生細菌を分離し、シデロフォア産生能を確認したところ、分離された837菌株の内生細菌のうち88.6%に相当する742菌株がシデロフォア産生能を有していた。DNA解析による同定の結果、高いシデロフォア活性を示した上位10菌株はPseudomonas属細菌、Herbaspirillum属細菌、Rhizobium属細菌であった。これらの10種の内生細菌が産生するシデロフォアが鉄プラーク形成に寄与するか確認するため、Feイオン (Fe2+及びFe3+) と内生細菌の培養濾液を混合させたところ、Pseudomonas属細菌及びRhizobium属細菌の代謝産物がFeとの沈殿を形成させることが明らかとなった。また、HPLC分析の結果、Pseudomonas rhodesiae 3株、Pseudomonas protegens 1株、Rhizobium nepotum 1株の培養濾液からは保持時間及びUVスペクトルから同種と考えられるフェノール性化合物が検出された。以上のことから、内生細菌が産生するシデロフォアがヨシの鉄プラークの形成に関与する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的に従い、内生細菌が産生するシデロフォアがヨシの鉄プラークの形成に関与する可能性を示すことができた。この点においては、目標を達成することできた。しかし、シデロフォアの分離には多少困難な点があり、同定まで至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
様々な分離モードを選択し、シデロフォアの分離を試みることで、分離精製することができればと考える。最終的には精製したシデロフォアを、機器分析(MS、NMR)に供することで同定を行うことができればと考える。
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