研究課題/領域番号 |
19K22161
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 (2020-2021) 東京大学 (2019) |
研究代表者 |
歸家 令果 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (10401168)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 分子構造 / 電子回折 / 化学反応動力学 / クラスター / イオントラップ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、多原子分子イオンや分子錯合体イオンに対する「幾何学的構造の直接的計測」を実現するために、イオントラップによって質量選別された分子イオンや分子錯合体イオンの幾何学的構造の変化を計測する手法である「時間分解捕捉イオン電子回折法」を開発し、それらのイオン種の反応ダイナミクスを幾何学的構造変化として解明する。
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研究成果の概要 |
イオントラップに捕捉された分子イオンに高速電子線を照射して散乱電子の角度分布を計測することによって、分子イオンの幾何学的構造を測定する捕捉イオン電子回折装置を開発した。中心部に穴の空いた二次元検出器を用いて、非散乱電子を検出器後方のビーム阻止チャンバーに導入するとともに、電子線ダンパー近傍に永久磁石対を設置して反跳電子や迷電子を磁場捕獲することによって、背景信号を大幅に抑制し、CCl3+イオンの電子回折像の観測に成功した。これは、分子イオンの電子回折像の初めての観測例であり、実験による多原子分子イオンの構造決定が可能となったことを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
化学において分子の幾何学的構造は、全ての議論における基盤となるものであり、分子構造の精密測定実験は基礎から応用にわたる化学研究の根幹を担うものである。中性孤立分子に対する構造決定法は既に確立しており、膨大なデータベースが構築されているのに対して、2~3原子からなる小さな分子イオンを除いて、孤立分子イオンの構造パラメーターを実験によって直接測定する手法は存在しない状況であった。本研究成果は、分子イオンに対する電子回折実験の初めての成功例であり、長年の課題であった「孤立分子イオンの構造測定」の問題を解決へと導くブレイクスルーとなる。
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