研究課題/領域番号 |
19K22173
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分32:物理化学、機能物性化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
安藤 耕司 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (90281641)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2020年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 電子ダイナミクス / 化学結合理論 / 凝縮系シミュレーション / 電子分極効果 / 強光子場 / 高次高調波発生 / 動的化学結合理論 |
研究開始時の研究の概要 |
局在電子波束に立脚した新しい動的化学結合理論の確立を目指す。局在電子波束と原子価結合理論を組み合わせた独自の理論によって、分子内電子ダイナミクスを記述する手法の開発を進める。基礎理論の深化と共に、数値計算手法を効率化させて応用の可能性を広げる。原子核ダイナミクスの波束理論と組み合わせることにより、電子と原子核の非断熱結合と動的相関を記述する理論の構築を試みる。例えば、高強度レーザー場に誘起された電子ダイナミクス、金属クラスター中の水素拡散における電子とプロトンの非断熱的結合、液体水素などの量子液体における電子と軽原子の動的結合などへ応用する。
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研究成果の概要 |
局在電子波束を基底とする原子価結合理論の開発と応用を進めた。電子ダイナミクスのポテンシャルエネルギー曲面を構築し、LiH分子、H原子、He原子からの高次高調波発生スペクトルを計算・解析した。一電子一波束の最小基底でありながら、波束の中心位置と幅を可変とすることで、適切な電子ダイナミクスポテンシャル曲面が得られることを確認した。波動関数の解析により、高次高調波発生のメカニズムについて新知見を得た。局在電子波束法を凝縮系シミュレーションに適用するための基盤として、嗅覚や味覚受容体タンパク質および水中の酸電離に関する分子動力学シミュレーションの解析手法の開発を行った。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
中心位置と幅が可変であるような局在電子波束を原子価結合法と組み合わせる理論は、本研究のオリジナルであり高度に挑戦的である。特に、波束中心位置の関数としてポテンシャルエネルギー曲面を構築することで電子ダイナミクスの解析を可能とした点は、標準的な分子軌道法では自明には得られない独創的な特徴である。原子価結合法は、PaulingやCoulsonの時代に静的な化学結合理論として定性的に見通しの良い描像を与えたが、基底関数の非直交性に由来する技術的な困難によって表舞台から退いていた。これに新たな光を当て、動的な化学結合理論として発展させることを試み、一定の成果を得たことが、本研究の学術的意義である。
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