研究課題/領域番号 |
19K22177
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松永 茂樹 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (50334339)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 超原子価ヨウ素 / アスタチン / セラノスティクス / イプソ位置換 / 放射標識 / 固相反応 |
研究開始時の研究の概要 |
211Atおよび18Fを様々な医薬骨格に自由自在に導入できる自動化学合成手法の開発に取組み、臨床適用に向けた合成化学的な障壁を克服することを目指す。2ヶ年の研究を通じて、(1)独自のヨードニウム転移反応を利用した超原子価ヨウ素の位置選択的導入法の確立、(2)超原子価ヨウ素の特性を活かした同一中間体からの迅速ハロゲン標識(211Atおよび18F)導入法の確立、(3)超原子価ヨウ素種の固相担持カートリッジ化と放射線防護のための隔離環境下における自動合成システムへの適用検証、の3点を実施する。
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研究成果の概要 |
本研究では、遷移金属を用いない条件においてアスタチン211を医薬骨格へと導入する新しい合成法の開発に成功した。求核的なアスタチンアニオン種を利用し、アリールヨードニウムイリドとの反応が効率よく進行し、さまざまな官能基を有する分子、ヘテロ環化合物に対してアスタチン211が高い放射化学収率にて進行した。本研究で開発した手法は、従来法でも使用されてきた有毒な有機スズ試薬を用いる必要がなく、制御が困難な求電子的なアスタチン211カチオン種の使用も回避することができる。アスタチン211の実用的な標識法として価値が高く、がんのアルファ線放射各種により治療法の開発へとつながる萌芽的成果である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
がん細胞を標的する薬剤を放射性核種で標識し、体内に投与することで、がん細胞特異的に放射線を照射するがん治療法が注目を集めている。特に、短い距離に高いエネルギーを放出するアルファ線を用いた治療法が将来性の高い手法と言えるが、その基盤となる合成手法が未熟であり、課題であった。本研究では、遷移金属を使用せずに簡便にアルファ線放射核種アスタチンを標識する手法の開拓に成功し、がんの診断と治療の融合へ向けた第一歩となる成果と言える。
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