研究課題/領域番号 |
19K22184
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分33:有機化学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
廣戸 聡 京都大学, 人間・環境学研究科, 准教授 (30547427)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | アザバッキーボウル / 曲面π共役分子 / ホウ素 / バッキーボウル / アルキン / n型半導体 / ボロン / 歪曲 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではホウ素元素を含む曲面分子の合成を目指す。ホウ素元素は電子受容性やフッ素との親和性を示し、分子に組み込むことで優れた電子材料の創出に繋がる。曲面構造をもつ分子に組み込むことで、電子受容性を示す新たな炭素材料の創出が期待できる。さらに、電極や発光材料への応用が期待されるホウ素ドープ型の炭素材料におけるホウ素の役割の解明に繋がり、性能の更なる向上の手がかりになると期待できる。まずは、ホウ素元素を分子の骨格に組み込む手法を開発し、その上で分子を歪め、目的のホウ素含有曲面分子の合成を目指す。
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研究成果の概要 |
通常π共役分子は平面構造をもつ。我々は、曲面構造をもちヘテロ元素を内部に含む新たなπ共役分子アザバッキーボウルの合成を報告している。この合成で得られた知見を元に、これまで最難関とされてきたボラバッキーボウルの合成に挑んだ。その過程で、分子内電荷移動を示すアザバッキーボウル-PBI錯体の合成に成功し、曲面と曲面、平面と平面同士が互いに積み重なる特異な積層構造の構築を示唆する結果を見出した。さらに、ボラバッキーボウル合成前駆体であるterphenyl誘導体の新規合成法の開発に成功した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
曲面構造をもつπ共役分子は古くから合成が行われているが、多くは炭素または水素原子のみで構成されており、ヘテロ元素を含むものはほとんどない。合成において、ヘテロ元素が脱離しやすい、空気酸化や水分の影響を受けて壊れてしまう点が問題であった。今回、その中で最難関のホウ素を含む曲面分子の合成に挑んだ。その結果、有用な前駆体の合成に成功した。さらに、目的化合物の機能発現のモデルとなる分子を合成し、有機エレクトロニクスデバイスに応用可能な新規な知見を得ることに成功した。これらの成果はこれまで応用が不明瞭であった曲面分子の可能性を広げるものであり、新たな有機材料の創出につながる重要な成果である。
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