研究課題/領域番号 |
19K22217
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
大北 英生 京都大学, 工学研究科, 教授 (50301239)
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研究分担者 |
KIM HYUNGDO 京都大学, 工学研究科, 助教 (80837899)
玉井 康成 京都大学, 工学研究科, 助教 (30794268)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 共役高分子 / 絶縁性高分子 / 結晶 / 非晶 / 相溶性 / 分子量 / 表面エネルギー / 太陽電池 / 結晶性共役高分子 / ブレンド膜 / 電荷輸送特性 / 分子量依存性 / ブレンド / 非晶性 / 結晶性 / 正孔輸送 / 移動度 / 電荷輸送 / 電流計測原子間力顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
共役高分子膜の電気伝導度や移動度が、単体のニート膜よりもポリスチレンなどの絶縁性高分子とブレンドすることによって低下するのではなく、向上するという一見すると直観とは相反する現象であり、従来の概念では説明できない挑戦的な研究である。従来の概念では説明できない現象であるがゆえに、まずは特定の組み合わせでのみ生じる特異な現象であるのか、多くの組み合わせで見られる普遍的な現象であるのかを探求する。特定の系について機構が解明できれば、他の系にも演繹することで普遍的な機構をさらに探究する。
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研究成果の概要 |
種々の共役高分子を用いて系統的に検討した結果、共役高分子と絶縁性高分子のブレンド膜における電荷輸送特性の向上は、多くの系に見られるかなり普遍的な現象であることが分かった。また、電荷輸送特性が向上する系では共役高分子の吸収スペクトルに変化が共通して観測され、共役分子鎖の電子状態の変化が電荷輸送特性の起源であることを見出した。この変化はマトリックス高分子の分子量や表面エネルギーに依存し、両者の相溶性を適切に選択することにより電荷輸送特性を制御できる可能性を示唆している。さらに、実際の高分子太陽電池においてもブレンド素子での正孔輸送特性が向上する機構を明らかにすることができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果により、ポリスチレンのような非晶性の絶縁体ポリマーマトリックスに導電性高分子を少量ブレンドしたフィルムにおいて、ニート膜よりも優れた電荷輸送特性を実現可能であることが実証された。一般に、高い電気伝導特性を示すには、高結晶性の共役高分子が用いられるが、これらは柔軟性にかけウエアラブル素子への応用が難しいと考えられている。今回の研究成果を基に、高結晶性の共役高分子と非晶性高分子とのブレンド膜について適切な組合せを見出せば、高い電気伝導特性と柔軟性を両立した膜を実現できると期待される。
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