研究課題/領域番号 |
19K22223
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分35:高分子、有機材料およびその関連分野
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
長濱 宏治 甲南大学, フロンティアサイエンス学部, 准教授 (00551847)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 細胞 / ハイドロゲル / 自己治癒 / 接着 / カドヘリン / クリックケミストリー / 自己修復材料 / スマートマテリアル / バイオミメティク材料 / 細胞機能 / 自己修復ゲル / ハイブリッド材料 / バイオマテリアル / 再生医療 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題では、当研究室で独自に開発した細胞ゲル(細胞を高分子で化学架橋して得られるハイドロゲル)内で、架橋点として機能している細胞が示す多彩な反応や応答を、ゲルネットワークを介してゲル全体に伝播させることで、ゲル全体のマクロな動的応答や創発機能を生み出す革新的ゲル材料システムを創出する。本研究課題の成果として、新規な材料設計コンセプト『生物-有機ハイブリッド材料』を提案することができる。さらに、本手法はほ乳類細胞のみならず、植物細胞や細菌・ウイルスにも適用できるため、今後、多種多様な『生物-有機ハイブリッド材料』の創出に発展し、新しいテクノロジーの開発につながると期待できる。
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研究成果の概要 |
N-カドヘリンを発現するマウス筋芽細胞で2つの細胞架橋ゲルを作製し、容器内で積層するとゲル同士は自発的に接着した。上のゲルと下のゲルの細胞同士がN-カドヘリン依存的な細胞間結合を形成した。細胞ゲルでは、界面で細胞間結合により生じた接着力がゲルネットワークを通じて集積・統合し、さらにゲル全体に伝播することで、ゲル全体として接着力を示した。さらに、C2C12細胞ゲルを細断し、ゲル断片を容器内でまとめて培養すると、断片同士は自発的に接着して傷口は修復され、ひと塊のゲルを復元したことより、細胞ゲルは生体組織と同様な機構で自己治癒機能を発現し、まさに「生きているゲル」として振舞うことが示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は、生きている細胞が示す高次な機能や応答を、生細胞を組込んだ材料全体の機能として発現させることが可能だと実証した世界初の例であり、本成果は材料科学全般に対して、新しい材料設計指針を提供するものである。また、本研究成果は細胞の新しい使用方法を提案するものでもあり、細胞生物学全般に対しても強いインパクトをもたらす。つまり、本研究成果は、挑戦的研究萌芽に相応しい学術的意義をもつものである。細胞ゲルを生体組織に接触させて静置すると、ゲルは組織に強く接着することを見いだしており、本研究成果の応用例として、自家細胞を用いた新規な生体接着剤を検討している。
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