研究課題/領域番号 |
19K22264
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
魚住 信之 東北大学, 工学研究科, 教授 (40223515)
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研究分担者 |
山上 睦 公益財団法人環境科学技術研究所, 環境影響研究部, 副主任研究員 (60715499)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 非栄養元素 / イオン輸送体 / 必須元素 / ナトリウム / 光合成生物 / Na / K |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,これまでに見抜くことができなかった非栄養元素が必須元素を代替する条件とその分子機構を明らかにする.本研究では,新たに大腸菌から非栄養元素のLiとNaの輸送体の単離を行う.さらに,LiもしくはNaの輸送体と培地中にわずかに含まれるKを吸収する高親和性K輸送体が協奏的に機能すると大腸菌はLiやNaの主要培地で増殖するようになるのかを検討する.養分に貧する危機的環境を乗り越えようとする細胞のしくみを解明することで細胞の環境適応力の一端を明らかにする.極限微生物の増殖や環境中の元素の生物回収と蓄積に関する新たな概念を吹き込むことをめざす.
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研究成果の概要 |
細胞は必須元素をもちいて増殖するものの,非栄養元素を細胞が積極的に利用することはないと考えられてきた.ところが,申請者は大腸菌が,非栄養元素が主要の培地においても,通常の培地と同程度に増殖することを示した.細胞内に最も多く存在する陽イオンのKであるが,Naは微生物などにおいて必須元素ではない.しかし,一般に生存が難しい養分元素がない環境においてもNaなどの非栄養元素を利用して細胞が生存する可能性を本研究で検討した.大腸菌と光合成細菌の藍藻の生体膜で機能するNaを透過する輸送体を調べて,細胞増殖を支えるアルカリ金属元素の吸収と調節機構の解析を行った.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
過酷な環境でも生存するために,原核生物は様々な元素を利用することができること明らかにした.本研究では,最適な好ましい環境にも生存範囲を拡張して生育する生命分子装置を明らかにした.このことは,地球誕生から進化の過程で細胞がしたたかな生存戦略を維持してきたことを示している.本研究で,基本生物である大腸菌と葉緑体の先祖である藍藻において非栄養元素を利用する仕組みが存在し,養分の確保や光合成の維持に本輸送体が寄与していることが明らかとなった.
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