研究課題/領域番号 |
19K22271
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉田 稔 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80191617)
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研究分担者 |
伊藤 昭博 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (40391859)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | TEAD / Hippo経路 / リジンアシル化 / アシル基転移酵素 / 転写制御 / タンパク質アシル化 / 長鎖アシル化酵素 / 脱長鎖アシル化酵素 / アシル基転移反応 |
研究開始時の研究の概要 |
最近、構造的に多様なアシル化がリジン残基に起こっていることがわかってきた。ところがそれらのアシル基転移酵素(アシル化酵素)についてはほとんどが不明のままである。我々は長鎖アシル化タンパク質の網羅的な探索を行ったところ、転写因子TEADの1つのリジン残基(K357)がほぼ定量的にミリストリル化またはパルミトイル化されていることを見いだした。しかも立体構造上近接するシステイン残基の変異によってアシル化は完全に消失した。このような高効率のアシル化は、定説となっている非酵素的なアシル化反応では説明できないため、TEADは自己長鎖アシル化酵素であると予想された。本研究はその仮説を検証するものである。
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研究成果の概要 |
本研究はがん抑制経路の1つであるHippo経路の下流で制御される転写因子TEADがこれまで未発見のリジン長鎖アシル基転移酵素として機能する、という仮説を検証することを目的としている。大腸菌から精製したリコンビナントTEADタンパク質を調製し、アシル化反応で新たに起こったアシル化修飾のみを検出するために、クリック反応を利用した検出系を構築した。これを用いてTEADによるアシル基転移反応を検討したところ、TEADはまず自身のシステイン残基を自己アシル化し、そこから他のTEAD分子のシステイン残基およびリジン残基への分子間アシル基転移反応を触媒するアシル化酵素であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
最近、タンパク質リジン残基に多様なアシル化が起こっていることがわかってきた。これらの脱アシル化酵素の解析は進み始めているが、アシル化酵素についてはほとんどが不明のままである。そのため、リジン残基のアシル化はアシルCoAから非酵素的に転移しているという考えが定説化してきている。本研究は新規のリジンアシル化タンパク質として同定した転写因子TEADが自己アシル化するだけでなく、TEAD同士のアシル化も触媒する可能性を示したもので、学術上の大きな発見につながる可能性が高くなった。また、TEADはがん化に関与することから、その阻害剤の開発から医薬品への応用につながる可能性もある。
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