研究課題/領域番号 |
19K22282
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
高木 博史 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (50275088)
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研究分担者 |
向 由起夫 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (60252615)
那須野 亮 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (90708116)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 酵母 / Saccharomyces cerevisiae / プロリン資化 / プロリントランスポーター / アルギニン / 細胞寿命 / 窒素源 / プロリン / リボファジー / 抗酸化 |
研究開始時の研究の概要 |
我々は、酵母Saccharomyces cerevisiaeにおけるプロリン(Pro)の代謝制御機構と生理機能を解析し、Proが様々なストレスから細胞を保護することを明らかにした。また、Pro代謝関連酵素が新規な細胞機能(N-アセチルトランスフェラーゼMpr1:アルギニン合成を介した抗酸化、γ-グルタミルキナーゼPro1:リボソームの選択的オートファジー、ProオキシダーゼPut1:細胞寿命の制御)に関与することを見出した。本研究では、Pro代謝関連酵素が関与する環境適応機構への理解を深めるとともに、各酵素の発現を制御することで、酵母の高機能開発(ストレス耐性・発酵生産性の向上)を試みる。
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研究成果の概要 |
まず、プロリンが細胞の経時寿命に及ぼす影響を調べた。その結果、経時寿命はプロリン含量と無関係であるが、プロリンオキシダーゼPut1の遺伝子欠損によって顕著に短くなった。Put1はプロリンを酸化分解し、電子とプロトンをミトコンドリア電子伝達系に送ることから、Put1によるエネルギー産生が経時寿命の制御に関与する可能性が示された。続いて、プロリン資化の抑制機構を解析した。その結果、アルギニンがアルギニン輸送体Can1依存的なプロリン輸送体Put4のエンドサイトーシスを介して、プロリンの資化を抑制することが判明した。また、Can1は輸送体と受容体の機能を有するトランスセプターであることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
プロリンによる細胞寿命制御については、Put1のホモログ遺伝子はヒトを含む多くの生物で保存されているため、Put1とエネルギー代謝、寿命の関係を解明することで、老化防止や健康長寿、エネルギー代謝不全が原因の疾患予防に資することができる。また、細胞寿命が延長したパン酵母やビールを育種することで発酵力の向上が期待できる。プロリン資化抑制については、トランスセプターの生理的意義、シグナル伝達の分子機構を解明できる。また、実験室酵母で得られた知見をもとに、プロリンを高効率で資化するワイン酵母やビール酵母を育種することで、プロリン含量の低い酒類の醸造が可能になり、酒類の高付加価値化と差別化が期待できる。
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