研究課題/領域番号 |
19K22288
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分38:農芸化学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
中山 二郎 九州大学, 農学研究院, 教授 (40217930)
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研究分担者 |
田中 芳彦 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00398083)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | クオラムセンシング / ウエルシュ菌 / チオラクトンペプチド / 自己誘導ペプチド / 補体 / diguanylate cylase / cyclic di-GMP / チオラクトン / グラム陽性細菌 / クロストリジウム / バイオフィルム / クオルモン / ウェルシュ菌 / 環状ペプチド / クォルモン |
研究開始時の研究の概要 |
「クオルモン」とは単細胞生物である微生物が細胞間のコミュニケーション“クオラムセンシング”に用いるシグナル分子のことで、これにより菌密度依存的に特定の遺伝子の発現を同調させ、同種菌間の集団行動を統制している。グラム陽性菌では、これらの環状ペプチド分子を用いることで、種特異的なクオラムセンシングを自在に展開している。本研究では、腸内ヒト共生菌のクオルモンペプチドが、本来の同種菌間のコミュニケーションシグナルとしての機能に加えて、ヒトの細胞に対して作用し、免疫系やホルモンのシグナル伝達系に作用し、ヒト腸管の共生的定着を成立させている可能性を、分子・細胞レベルで検証する。
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研究成果の概要 |
本研究では、ウエルシュ菌のクオラムペプチド(AIP)のチオラクトン構造が、補体のC3分子にも共通して存在することから、チオラクトンが補体分子あるいは補体C3の標的分子と反応して、補体の攻撃を阻止している可能性を考えた。実際に、AIP欠損株(TS230株)は、血清中での生存率が著しく低下していた。しかし、本現象はAIPの添加で回復することがなく、AIPの欠損以外の要因が疑われた。その一つとして、TS230株では細胞内セカンドメッセンジャーであるcyclic di-GMP量が減少しており、特殊なペリクルバイオフィルムを形成するなどの影響で血清への感受性が高まっているという新たな可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
クオラムセンシングとは多くの細菌が有する細胞密度依存的に遺伝子発現を制御する機構のことである。ウエルシュ菌やその近縁種ではチオラクトン構造を有する環状のペプチドを自己誘導因子としてクオラムセンシングをオンにする。我々はその環状ペプチドが人体感染時に免疫系から回避するのにも機能しているのではないかと考えた。実際に、自己誘導因子を作製できない変異株は血清中で僅か10秒で死滅した。しかし、この実験に自己誘導因子を加えてもこの現象は同様に起こり、この変異株ではセカンドメッセンジャーの現象が起きていた。クオラムセンシングとセカンドメッセンジャの間のクロストークという新たな可能性が示唆され興味がもたれる。
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