研究課題/領域番号 |
19K22306
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
犬飼 義明 名古屋大学, 農学国際教育研究センター, 教授 (20377790)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | イネ / 標的シス配列 / 遺伝子発現制御 / プロモーター領域 / 遺伝子発現 / シス配列 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの遺伝子が複数の器官で共通に発現するため、遺伝子領域中のDNA変異の利用では対象とする器官のみに特化した品種改良が困難である。本研究では、狙った器官の発現パターンのみの改変を可能にする新たなシス配列探索法の開発・検証を試みる。まず、既にゲノムワイドにDNA型が決定されているイネの組換え型自殖系統群を用い、RNA-Seq解析等を通して各遺伝子座の発現量に影響を及ぼすゲノム領域(eQTL)の検出を試みる。これにより、自分自身の遺伝子座の発現量を制御するeQTLを見出し、次に異なる器官間における本遺伝子の発現性を親品種間で精査すること等を通して、器官間での発現制御に関わるシス配列の同定を試みる。
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研究成果の概要 |
日本型とインド型品種の葉と根を対象に網羅的な発現量解析を行ない、葉では発現しないが、根では両品種間で有意に差がある遺伝子群を選抜した。次に、これら遺伝子群の発現量を制御する染色体領域をeQTL解析により検出した結果、第4染色体上に検出されたeQTL(eq.4)は、eq.4隣接遺伝子のプロモーター領域における両品種間の配列の違いによってもたらされることが判明し、日本型品種にのみ存在するシス配列が3種類見出された。このように器官特異的な発現量制御を可能にするシス配列の同定が進めば、これまでに課題とされてきた変異遺伝子の多面発現性を克服することができ、今後の育種利用が大いに期待される。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
これまでにイネ根系の発育が優れる系統や品種が、乾燥ストレスなどの不良環境下においても、良好な成長を示すことが報告されている。そのため、根系が発達する突然変異体を対象として、変異遺伝子の同定が進められてきた。しかし、これらの変異遺伝子が実際の育種の現場において実用化された例は決して多くない。この主要な理由として、多くの遺伝子が複数の器官で共通に発現することが挙げられる。本研究にて試みた器官特異的な発現量制御を可能にするシス配列の同定が進めば、一つの変異遺伝子の多面発現性を克服することができ、これら有用遺伝子を実際の育種現場において利用できるものと期待される。
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