研究課題/領域番号 |
19K22308
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
刑部 正博 京都大学, 農学研究科, 准教授 (50346037)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2020年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2019年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | ピコルナ様ウイルス / ミカンハダニ / 紫外線 / 寄主植物 / ピコルナウイルス / 共生的ウイルス / 寄主植物適応 |
研究開始時の研究の概要 |
昆虫では30種以上のピコルナ様ウイルスが報告されているが生態的役割は不明である。そこで、ミカンハダニで新たに見つかった共生的ピコルナ様ウイルスについて、「ピコルナ様ウイルスがミカンハダニのカンキツ上での発育を促進する」および「植物成分や紫外線によってピコルナ様ウイルスが抑制されることによりミカンハダニへの負荷が軽減される」という相反する2つの仮説を立て、これらを検証する。そのため、全塩基配列の決定、ウイルスの分布・増殖へのハダニの寄主植物や紫外線の影響、ハダニへのコストを調べる。ことで、ことを本研究の目的とする。これらを通じて、新たな食性分化/生態メカニズムの提示を目指す。
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研究成果の概要 |
ミカンハダニから検出された一本鎖のRNAウイルスの塩基配列を決定し、その増減に対するハダニの寄主植物並びに紫外線の影響を調べた。塩基配列からこのウイルスは中国で報告されたピコルナ様ウイルスの一系統(Hubei picorna-like virus 79 strain)と同一もしくは近縁種であることが分かった。また、このウイルスはハダニがカンキツを摂食することによりハダニ体内で増殖し、一方紫外線UV-Bの照射により顕著に減少することが分かった。しかし、ウイルスの増加によるハダニの生存・繁殖へのコストは検出されず、共生的であると考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
昆虫では30種以上のピコルナ様ウイルスが報告されているが、生態的役割は多くが未解明である。一方、毒性を持つ植物と植食者の関係は、植物の化学的防御と植食者の適応を通じた共進化の文脈で考えられる。しかし、昆虫ウイルスの中には宿主の行動を制御するものも知られており、共生的ウイルスが寄主の食性に影響することが分かれば食性分化の新たなメカニズムが提案できる。また、ウイルスが宿主の繁殖に影響を及ぼし、太陽光紫外線がその増殖の抑制を通じて宿主の繁殖を助ける場合、紫外線の新たな生態的役割を提示できる。したがって、今後さらなる研究の進展が望まれる。
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