研究課題/領域番号 |
19K22318
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分39:生産環境農学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
高松 大輔 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究部門, グループ長 (60414728)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ハチミツ / 蜜蜂 / 抗菌物質産生菌 / アメリカ腐蛆病菌 / ヨーロッパ腐蛆病菌 / 黄色ブドウ球菌 / 大腸菌 / プロバイオティクス / みつばち / 腐蛆病菌 / バクテリアルプレデター |
研究開始時の研究の概要 |
ハチミツは無菌なものではなく、その中には抗菌物質産生能を有する菌が存在することも知られている。しかし、限られた解析しかされておらず、ハチミツ由来菌がもつ潜在的な力についてはほとんど注目されていない。本研究は、蜜蜂や人がすでに何千年も食しているハチミツの中に蜜蜂や人には無害だが、病原体や薬剤耐性菌の排除に役立つ可能性のある菌が存在するか探索し、プロバイオティクスとしての応用の可能性を探ることを目的とする。ハチミツから人類に恩恵をもたらす有用菌が見つかった場合、蜂産品に新たな付加価値を加えることとなり、多剤耐性菌にも抗菌効果を示す菌が見つかれば、薬剤耐性菌問題解決の糸口になる可能性もある。
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研究成果の概要 |
本研究では、国産ハチミツの中に病原体の排除に役立つ可能性のある菌が存在するか探索した。その結果、黄色ブドウ球菌、大腸菌及び蜜蜂の病原体である腐蛆病菌に抗菌効果を示す物質を産生する菌を複数株発見した。ゲノム解析の結果、これらの多くは抗菌ペプチドの遺伝子を保有していた。抗腐蛆病菌活性を示す株の中から10株を蜜蜂用プロバイオティクス候補株として選択し、それらの芽胞を蜜蜂幼虫に摂食させて毒性を確認したところ、5株は幼虫の死亡率を有意に上昇させ、幼虫に毒性を示すと判断された。残りの5株は有意な死亡率の上昇は見られなかったが、幼虫内での発芽・増殖が確認できず、幼虫腸内での抗菌物質の産生を期待できなかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、国産ハチミツから蜜蜂やヒトの病原体に抗菌活性を示す菌を複数発見することができた。これらはバシラス属菌やペニバシラス属菌などのグラム陽性芽胞形成菌であったが、食用として市販されているハチミツから分離した菌であり、国内でこれらの菌種によるヒトへの健康被害は報告されていないことから、将来的にプロバイオティクスとしての応用も考えられる。一方、蜜蜂に対しては、幼虫に毒性を示す菌が発見された。これらはこれまで蜜蜂の病原体をしては認識されていない菌であるため、原因不明の蜂群の不調などに関与している可能性も考えられる。従って、これらの菌のさらなる研究により、蜜蜂の健康維持に貢献できると期待できる。
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