研究課題/領域番号 |
19K22334
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
上高原 浩 京都大学, 農学研究科, 教授 (10293911)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | セルロース / マーセル化 |
研究開始時の研究の概要 |
セルロースのマーセル化とはセルロースのアルカリ膨潤処理のことを言う。マーセル化によりセルロースの結晶構造はセルロースI型からセルロースII型に変化する。セルロースI型はセルロース分子鎖が平行に、セルロースII型は逆平行に配向していると言われている。ところが、研究代表者は分子鎖の向きが揃ったセルロース鎖の結晶構造がセルロースIIであるという実験事実を得た。この事実は一般的な学説と反する。そこで本研究では、隣り合う分子鎖が逆平行であるセルロース分子鎖集合体を合成し、『マーセル化がセルロース分子鎖の方向に与える影響』に関する新説を提唱する。
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研究成果の概要 |
セルロースのマーセル化(アルカリ処理)により、セルロースの結晶構造は分子鎖が平行から逆平行に変化すると言われている。この現象を理解するため、有機化学的に2本のセルロース分子を強制的に平行あるいは逆平行に固定する方法を検討した。はじめにセルロースのモデル化合物であるセロビオース2分子を平行あるいは逆平行に固定する方法を確立した。次いで、アルカリ処理によりセルロース2分子を平行に固定した分子集合体を合成したところ、この平行鎖セルロース誘導体はCellulose-IIの結晶構造を有することがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
セルロースのマーセル化は、染色性が向上するなど繊維産業では重要な技術である。本研究では、セロビオースをセルロースのモデル化合物として、平行、および逆平行の4種類の2本鎖セルロース集合体の合成に成功し、基本的な合成戦略を確立した。また、逆平行鎖セルロース分子集合体の合成は未了であるが、平行鎖セルロース集合体の合成を行い、従来、逆平行鎖と考えられているCellulose-II型のセルロース結晶構造を得たことは学術的に興味深い。本研究の成果はセルロースの基礎科学に新しい知見を加えたという社会的意義がある。
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