研究課題/領域番号 |
19K22335
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上谷 幸治郎 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20733306)
|
研究分担者 |
鈴木 望 名古屋大学, 工学研究科, 特任助教 (00779845)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
|
キーワード | 弾性変形 / 線形性 / 輪郭捻れ / 内部座標捻れ / 構造捻れ / 光弾性係数 / 有限要素法 / ミクロフィブリル / 捻れ / キラリティ / 力学特性 / ミクロフィブリル傾角 / セルロースナノファイバー / あて材 / 力学物性 |
研究開始時の研究の概要 |
樹木の構造骨格である細胞壁は、セルロースナノファイバー(CNF)が配列充填することにより高い骨格強度を発現するが、CNFの配列方向が鉛直の重力方向と一致せず傾角を有することが形態学的に知られている。この傾角が存在する力学的根拠が従来の構造力学的枠組みでは説明できず、長年の科学的解明課題となっていた。本研究では、最近見出されたCNFの捻れ形状に着目し、計算シミュレーションと実験的アプローチを駆使することで未知の力学的性質の解明を目指す。
|
研究成果の概要 |
本研究は、天然セルロースナノファイバーが固有に持つ右巻き捻れが力学性能に与える影響を明らかにする目的で、捻れ周期を超える十分に長いCNFの有限要素モデルを用いて引張・湾曲の力学試験を実施した。モデルの輪郭捻れと内部座標捻れを分離して解析することで、両者の寄与を明確化し、両者の拮抗作用で最終的な変形応答が決定されることを示した。引張変形では内部座標捻れによって回転変位が抑制され、湾曲変形では輪郭捻れが荷重方向以外への変形を抑制した。輪郭捻れを有するモデルの断面二次モーメントが周期変調することを示し、湾曲性が均質化される原因を解明した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、従来形態解析に留まっていたCNFの捻れが物性に及ぼす影響を解析した。特に、実験的には不可能な、捻れモデルの輪郭捻れと内部座標捻れを分離した解析プロセスにより、計算的手法の利点を最大限活用し、力学変位の不規則性に及ぼす両者の寄与を明確化した。引張および湾曲における弾性変形応答と捻れの関係を明確化することで、構造捻れ成分の異なる寄与が明らかになり、互いに拮抗して変形応答を決定することを導いた。本成果は、捻れたCNFを力学的に精密に活用するための学術的基盤となることが期待される。
|