研究課題/領域番号 |
19K22337
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分40:森林圏科学、水圏応用科学およびその関連分野
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
山口 晴生 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (10432816)
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研究分担者 |
西脇 永敏 高知工科大学, 環境理工学群, 教授 (30237763)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 亜リン酸 / 正リン酸 / 海洋微生物 / 細菌 / 培養 / NMR / 選択利用 / リン / 核磁気共鳴 / 選り好み利用 / リン循環 |
研究開始時の研究の概要 |
現代の水産学・海洋科学において,リンとは一般的に正リン酸態のものを指す。近年,それとは化学構造が異なる(O原子を一つ欠いた)亜リン酸化合物が,量的には無視できない規模で,海水から見出された。その一方で,この化合物は化学的に強固なため,海洋生物には分解されにくいものと考えられている。本研究では,化学的強固な亜リン酸化合物を選り好んで(選択的に)分解・利用する微生物を探索し,その利用機作を厳密な室内培養実験によって明らかにする。海洋生物生産を制御するリン循環機構の全容理解に貢献できる点で,本研究の遂行は極めて意義深い。
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研究成果の概要 |
現代の海洋科学におけるリンとは,一般的に完全酸化型(V価)の正リン酸化合物のことを指す。一方で海洋には,還元型の亜リン酸化合物(Ⅲ価)が分布している。亜リン酸化合物の多くは,化学的に安定なC-P結合を有することから,海洋微生物にはほとんど利用されないと考えられていた。しかし,本研究課題の実施によって,亜リン酸化合物を利用可能な海洋微生物が多数見出された。また,供試された培養株は,正リン酸化合物を積極的に利用しながら亜リン酸化合物をも同時に利用(=非選択に利用)できることが明らかとなった。これにより,海洋リン循環に対して微生物学的な亜リン酸化合物の分解が関与することを示唆した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
あらゆる生命体の必須元素ゆえにリン(P)は全ての生命活動・生物生産を支配している。近年,海洋広域で見出された有機の亜リン酸化合物は,化学的には安定な類いゆえに,難分解性と認識されている。しかし今回の研究によって,当該化合物は多くの海洋微生物に利用されやすい,むしろ「生物学的には易分解性」であることが強く示唆された。水産の根底を支える海洋微生物の生理生態ならびに重要元素リンの循環機構に関する新知見を提供するとともに,新たな実験技術の有効性を実証できたことは,水産学ならびに関連分野の学術的進展に大いに貢献するものと判断される。
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