研究課題/領域番号 |
19K22355
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
福本 晋也 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (50376422)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | マラリア / ハマダラカ / ヴェノム / マラリア原虫 / ベクター |
研究開始時の研究の概要 |
フィラリアやデング熱ウイルスなどの病原体は蚊などの昆虫によって媒介される。したがってこれらの感染症の制圧には、媒介昆虫を淘汰することが最も重要である。約100年あまりのあいだ、DDT・ピレスロイドなどの殺虫剤が蚊の撲滅のため使用されてきた。しかしながら、現在でも蚊によって媒介される感染症によって年間数十万人もの命が失われている。以上のことから既存の殺虫剤に依存しない全く新規の媒介昆虫コントロール法が必要であることは明白である。そこで本研究では、蚊によって媒介されるマラリア原虫をモデルとして、昆虫毒性ペプチド遺伝子を導入し蚊を殺滅する、全く新たな概念に基づく媒介昆虫制御法の開発を目的とする。
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研究成果の概要 |
殺ハマダラカ活性を持つヴェノムのスクリーニングの結果、電位依存性ナトリウムチャネルオープナーのサソリ由来毒素Tf2の同定に成功した。次に我々はTf2遺伝子導入組換えマラリア原虫の作出に成功した。Tf2発現マラリア原虫の殺ハマダラカ活性は当初の我々の期待を満たすものでは無かった。しかしながら、Tf2発現マラリア原虫はスポロゾイト形成能を持つがマウスへの感染性を欠損し、この原虫は100%の感染防御免疫をマウスに誘導することが確認された。以上の結果からヴェノム遺伝子導入原虫は新たな概念によるマラリアワクチンとして極めて有用であることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
蚊はTop deadliest animalとして知られ、最も多くの人間を死に至らしめている生物である。本研究では毒素遺伝子を導入した組換え原虫により蚊を制御することを目指し基礎的研究を実施した。本来の目的である蚊の殺滅には期待通りの活性を示さなかったものの、毒素遺伝子組換え原虫により100%のネズミマラリア原虫感染防御免疫を誘導することに成功した。この結果は本研究による方法論が全く新たなマラリアワクチンとして有用であることを示す重要な知見を示すものであり、今後、マラリアの征圧に寄与することが期待される。
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