研究課題/領域番号 |
19K22357
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
米山 裕 東北大学, 農学研究科, 教授 (10220774)
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研究分担者 |
安藤 太助 東北大学, 農学研究科, 助教 (40250732)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 抗菌ペプチド / 乳房炎 / 黄色ブドウ球菌 |
研究開始時の研究の概要 |
家畜生産のために使用される抗生物質の量は人の医療用としての用途よりも多く、この過剰な家畜への抗生物質の使用は薬剤耐性菌出現の温床となることから、その使用量の低減化は畜産業の持続的な発展のみならず、人類社会のために解決しなければならない喫緊の課題である。本研究では、酪農現場で最も経済的損失の大きい乳房炎の新規防除法の開発を目指し、既存の抗生物質に比べ耐性菌出現頻度の非常に低い抗菌ペプチドに注目し、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌に有効なマダニ抗菌ペプチドの微生物宿主を用いた高発現系の構築と、野生型ペプチドより抗菌力の増強した誘導体の探索を行う。
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研究成果の概要 |
畜産領域で経済的損失の甚大なウシ乳房炎の予防・治療戦略の構築は喫緊の課題である。乳房炎起因菌の中でも黄色ブドウ球菌は根治が困難であることからその対策が求められている。そこで本研究では、黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性が既存の抗生物質や抗菌ペプチドに比べ強いマダニ由来の抗菌ペプチドpersulcatusin(IP)に注目し、カルモデュリンをタグとしたIPの大腸菌を宿主とする高発現系を構築した。次いで、アフィニティー精製による部分精製標品のリンカーをTEVプロテアーゼで切断後、黄色ブドウ球菌に対する抗菌活性を評価した結果、キメラ型IPより切断処理後の遊離IPの抗菌活性が強いことが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
畜産生産現場で多量に使用されている抗生物質は、病原細菌に対する選択圧として作用するため、薬剤耐性菌出現の温床となることが危惧されている。本研究課題は抗生物質に頼らない家畜生産システムの構築を目標とし、薬剤耐性菌出現頻度が既存の抗生物質よりも低い昆虫由来抗菌ペプチドpersulcatusinに注目し、その微生物を宿主とした高発現系の構築と実用化に向けた基礎微生物学的解析を行っている。本研究においてpersulcatusinの安価な生産システムの構築とその生物学的特性の詳細が解明された暁には、現在公衆衛生上の大きな問題となっている薬剤耐性菌問題に対処するための一助になると考えられる。
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