研究課題/領域番号 |
19K22361
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
西村 亮平 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (80172708)
|
研究分担者 |
加藤 幸成 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (00571811)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2019年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
|
キーワード | 犬 / 固形腫瘍 / 抗体療法 / ポドプラニン / 腫瘍関連線維芽細胞 / 犬自然発生腫瘍 / 免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍に特異的に発現する抗原は、がん治療において重要な治療標的である。これまでに、数多くの抗体療法が試みられてきたが、抗体の腫瘍特異性が十分でなく正常組織に反応してしまうことによる副作用が問題となっている。さらに、固形がんでは腫瘍組織の不均一性のために、腫瘍細胞には効果的でも腫瘍組織全体では十分な効果が得られにくいと考えられる。そこで、本研究では腫瘍組織に過剰発現するポドプラニンの腫瘍特異的糖鎖修飾に対する抗体を用いて、腫瘍細胞および腫瘍間質を構成する腫瘍関連線維芽細胞を標的とした抗体療法のイヌ腫瘍に対する安全性および有効性を検証する。
|
研究成果の概要 |
固形腫瘍は腫瘍細胞のみでなく、血管や免疫細胞、腫瘍関連線維芽細胞(CAF)など多様な細胞により構成されているが、未だ、CAFを標的とした治療法は確立されていない。本研究では、CAFおよび腫瘍細胞に発現するポドプラニンを同時に標的とできる犬キメラ化細胞傷害抗体を作製し、犬腫瘍細胞株を用いた実験、犬腫瘍移植マウスモデルにおける投薬実験、担がん症例犬での臨床試験を行い、本抗体薬の有効性と安全性を示唆するデータが得られた。少数例を対象とした臨床試験において、重篤な副作用なく抗腫瘍効果を示唆する反応が認められ、今後さらなる大規模臨床試験による有効性の検証への研究拡大を後押しするデータが得られた。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
悪性腫瘍は、犬・猫・人において主要な死亡原因であり、その克服は社会的な重要課題である。本研究では、悪性腫瘍のなかでも固形腫瘍に特有の腫瘍関連線維芽細胞および腫瘍細胞を同時に標的にできる抗体療法の安全性および有効性を実証することで、腫瘍治療学の発展に大きく貢献した。また、本研究では症例犬の臨床試験にも成功し、臨床獣医学における新たな腫瘍治療法の基盤となる重要な成果を報告できた。
|