研究課題/領域番号 |
19K22362
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中川 貴之 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (40447363)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 犬 / 固形腫瘍 / 腫瘍免疫 / T細胞 / 代謝 / 腫瘍浸潤リンパ球 / TIL療法 / TIL / メトホルミン / T細胞リプログラミング / 犬自然発生腫瘍 / 免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
がん免疫療法は固形がんに対する新たな治療法として注目を浴びている。本研究では、新たながん免疫療法として、腫瘍浸潤T細胞(TIL)を患者から分離し、体外で大量培養後、再び患者に投与するTIL療法の開発に取り組む。本研究の目的は、腫瘍内で疲弊・老化した抗腫瘍エフェクターT細胞のメトホルミン添加培養により、代謝調節を行い、増殖能の高いメモリーT細胞へとリプログラミング(=若返り)させるといった新たな仮説を検証し、それらを大量増幅後に犬自然発生腫瘍患者に投与し、再び抗原と反応させることで大量の抗腫瘍エフェクターT細胞を産生させる新たなTIL療法を確立し、その治療効果までを検証する挑戦的なものである。
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研究成果の概要 |
固形腫瘍組織内には、腫瘍細胞を認識する抗腫瘍T細胞が存在するが、様々な要因により、T細胞機能が抑制され、抗腫瘍応答が阻害されている。本研究では、腫瘍細胞や免疫細胞が過剰発現するIDOと呼ばれるアミノ酸代謝酵素に着目し、その阻害による抗腫瘍応答増強作用を検証した。その結果、犬膀胱癌や腫瘍浸潤免疫細胞において、IDOの高発現を認めること、IDO阻害薬により犬T細胞の抗腫瘍応答が増強されることを発見した。本研究により、IDOを標的とした抗腫瘍犬T細胞の抑制解除による新たな腫瘍免疫療法の開発につながる成果が得られた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
悪性腫瘍は、犬・猫・人において主要な死亡原因であり、その克服は社会的な重要課題である。近年、抗腫瘍T細胞の増強による腫瘍免疫療法が明確な臨床効果を認め、新たな腫瘍治療法として期待されている。本研究では、IDO阻害薬により犬T細胞および犬固形腫瘍細胞の代謝を是正することで、抗腫瘍T細胞応答を増強できることを実証し、腫瘍免疫学分野における発展に貢献した。また、本研究では、犬腫瘍細胞株や犬T細胞を用いており、臨床応用性が高いことから臨床獣医学における新たな腫瘍治療法の基盤となる重要な成果を報告できた。
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