研究課題/領域番号 |
19K22374
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
|
研究機関 | 大阪大学 (2020) 北海道大学 (2019) |
研究代表者 |
廣瀬 哲郎 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (30273220)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | RNA / 超分子複合体 / 核構造・機能 / タンパク質 / noncoding RNA / RNA-RNA相互作用 / 相分離 / 非膜性構造体 |
研究開始時の研究の概要 |
膜を介さずに特定の因子を液滴内の局所空間に隔離する細胞内相分離に大きな注目が集まっている。これらの研究はタンパク質の天然変性領域を介した現象として盛んに研究されている。一方で、本研究ではRNAが誘発する相分離に注目し、RNA合成段階でのRNA同士の複数の短い相互作用(いわゆるRNAの「もつれ」)によるRNA相分離の分子機構とその意義を解明するため、細胞内とin vitroの双方から解析を行う。
|
研究成果の概要 |
核内相分離構造体パラスペックルはシェルとコアの二層構造からなり、その骨格として働いているNEAT1 lncRNAはその内部に規則正しく配置されている。NEAT1はRNA同士の相互作用(もつれ)を介して、U字型構造をとりつつ、両末端領域がひとまとめになって存在すると考えられる。この可能性をCRISPR/cas9ゲノム編集による変異解析で検証した結果、NEAT1の両末端を同時に欠失させると、U字構造をとらずに構造体内にランダムにRNA末端が配置するようになり、二層構造も消失することが明らかになり、RNAのもつれが構造体の微細構造を組み立てるのに寄与している可能性が示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
細胞内相分離は、細胞内を膜構造を使わずに区画化する機構として大きな注目を集めている。さらに神経変性疾患の発症などに深く関わる可能性が浮上している。本研究で示唆されたRNAのもつれによって相分離構造の微細な内部構造が決定されている可能性は、細胞内の様々な部位でRNAの発現に応じて一過的に形成される相分離構造を、RNAの配列に基づいて理解し、さらに人為的にコントロールするための基盤知見となりうる。一方で、RNAのもつれは、ゲノムから合成されている様々な種類のRNAにおいて起こりうる現象であり、これによって各RNAの運命が決定されている可能性も浮上した。
|