研究課題/領域番号 |
19K22397
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
伊藤 隆司 九州大学, 医学研究院, 教授 (90201326)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | dCas9 / ゲノム不安定性 / 複製フォーク停止 / 構造多型 / 組換え修復 / CNV / 複製フォーク / Rad52 / 組換え / コピー数多型 / 縦列反復 |
研究開始時の研究の概要 |
Casタンパク質を利用するゲノム編集は、その倫理的問題も含めて社会的にも大きな話題となっている革新的な技術です。特に不活性化Casタンパク質を用いてDNAを切断することなくゲノム編集を行う塩基編集が安全性の高い技術として注目されています。ところが、私達は安全な筈の不活性化Casタンパク質がゲノム構造を不安定化する能力を持つことを発見しました。本研究では、その仕組みを明らかにすることによって、塩基編集の潜在的危険性の低減を目指します。また、逆にゲノム構造を不安定化する能力を活用することによって、ゲノム構造に大きな変化を導入する新しい技術の開発にも挑戦します。
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研究成果の概要 |
触媒不活性型Cas9(dCas9)は、標的遺伝子発現制御、生細胞可視化、塩基編集のツールとして盛んに利用されている。我々は出芽酵母においてdCas9が複製フォークの進行を阻害し、縦列反復構想を不安定化することを見い出した。この不安定化は、複製フォーク進行複合体の構成因子Ctf4とMrc1およびアクセサリーヘリケースRrm3によって抑制される一方で、組換えタンパク質Rad52およびRad59の一本鎖アニーリング活性によって加速される。dCas9による複製フォーク停止は、従来のdCas9の応用にとっては潜在的リスクとなるが、ゲノム安定性の機構研究や人為的操作における新しいツールとなるであろう。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
dCas9が複製フォークの進行を阻害して、ゲノムを不安定化させることを見い出した。これによって、ゲノム中の任意の部位で複製フォークを停止させる途が示された。dCas9によるゲノム不安定性の誘導は、ゲノム安定性研究における新しい研究手法を提供するとともに、構造多型を誘導する新しいゲノム操作技術の礎となることが期待される。また、様々な応用が試みられているdCas9の潜在的危険性を示したことにより、dCas9の様々な社会的応用の安全性向上にも貢献することが期待される。
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