研究課題
挑戦的研究(萌芽)
細胞外タンパク質分解経路の分子メカニズムを解き明かすため、関連する細胞外シャペロン、基質、受容体がどのような結合様式によって選択的分解を発揮するのか調べる。また細胞外タンパク質として分解される基質の指向性を、特に疎水性度に着目して、基質選択性の範囲を同定して、細胞外不良タンパク質の選別方法を解き明かす。これらの研究を進めることで細胞外、つまり血液内のタンパク質品質管理システムの研究基盤の確立を狙う。
本課題では、新しいタンパク質分解システムの基盤創出に挑戦した。そのために細胞外の変性タンパク質を細胞が取込みリソソーム分解するにしたがって細胞内に赤色蛍光が蓄積して検出するシステムを構築した。このアッセイ法を駆使することで、これまで主に知られていた細胞内タンパク質分解システムを超えて、ほ乳類の血液内にあたる細胞外にも異常タンパク質が存在すると選択的に分解へ導くシステムが存在することの実証に成功し、さらに細胞外シャペロンが細胞膜表面のヘパラン硫酸受容体が働く分子機構の一旦も明らかとすることに成功した(Itakura et al., JCB 2020)。
これらの成果は、細胞内だけでなく細胞外にも選択的なタンパク質分解システムが存在していることを明らかとしたことで、細胞外タンパク質の恒常性を維持するため細胞外タンパク質品質管理システムがはたらくことがわかった。未開拓なこの分野を新規の学術分野として今後発展させることで、日本の学術研究に大きなフロンティア的意義をもつ。また同定した細胞外タンパク質分解システムは基質の一つとしてアルツハイマー病の原因タンパク質であるアミロイドβを分解することが可能であるため、タンパク質蓄積疾患治療への応用も期待できる。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Journal of Cell Biology
巻: 219 号: 3
10.1083/jcb.201911126
FEBS letters
巻: 594 号: 10 ページ: 1586-1595
10.1002/1873-3468.13748
Scientific Reports
巻: 9 号: 1 ページ: 11635-11635
10.1038/s41598-019-48131-2
Genes to Cells
巻: 24 号: 8 ページ: 546-558
10.1111/gtc.12706