研究課題/領域番号 |
19K22417
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川上 厚志 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (00221896)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2020年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2019年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ゼブラフィッシュ / ヒレ / 再生 / レチノイン酸 / 組織再生 / Cyp26 |
研究開始時の研究の概要 |
魚類や両生類など脊椎動物の一群は高い組織再生能を持つ。種による再生能の差異のメカニズムを明らかにすることで,組織恒常性の普遍原理の解明や再生医療などへの展開が期待される。 私達は,レチノイン酸受容体RARアゴニストが、再生を不可逆的に完全停止させ、乳類組織のように再生不能とすることを見いだした。RAシグナルは,四肢発生において必須であることが示されている一方で,RA投与は骨の過剰な形成などの異常を起こすことも報告され,再生におけるRAシグナルの役割は実は明瞭でない。 本研究では,再生におけるRAシグナル作用を再検証し,下流の標的遺伝子の探索から,再生の可否決定に働く因子の同定を目指す。
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研究成果の概要 |
生物は、組織を長期に維持,再生する能力=組織恒常性を持つが、このメカニズムは未だ明らかでない。私達はレチノイン酸(RA)受容体アゴニストがゼブラフィッシュ尾ヒレの再生を不可逆に阻止するユニークな作用を見いだし,本研究では,アゴニスト作用機構の解析を行った。その成果,(1)アゴニストは過剰なRAシグナルを発生させるが,逆に,下流の標的Cyp26を介して強力かつ持続的なフィードバック阻害が誘導される。(2)誘導されたCyp26は,RAを分解し,急性のRAクリアランスを生じる。(3)その結果,アゴニストは,RAシグナルの停止を誘発し,これが数日持続することにより再生不能となることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
レチノイン酸RAは奇形誘発物質として知られ,母親が過剰摂取すると四肢の形成などに重篤な奇形を生じる。RAは四肢発生で重要なだけでなく,イモリや魚類などの四肢や鰭の再生にも関与することが示唆されてきた。しかし,この役割については統一的な見解がなかった。本研究によって,はじめて,RAが再生において必須の役割を持つことが示された。 RAや誘導体は,実際の治療薬としても用いられているが,RAなどを繰り返し投与すると,逆に血中濃度が低下する事が知られていた。本研究は,過剰RAシグナルがRAクリアランスを起こすメカニズムを明らかにした。これは,治療薬としてのRAの投与や新薬開発に一石を投じるものである。
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