研究課題/領域番号 |
19K22438
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
|
研究機関 | 基礎生物学研究所 |
研究代表者 |
金井 雅武 基礎生物学研究所, オルガネラ制御研究室, 特任助教 (30611488)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2021年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | ヒマ / 耐暑性 / 耐乾性 / 蒸散 / 乾燥耐性 / 高温耐性 / プロトプラスト |
研究開始時の研究の概要 |
東アフリカを原産とするヒマ(Ricinus communis)は優れた高温・乾燥耐性を持つが、その機構はいまだ明らかでない。これまでの研究から、ヒマ葉は他の植物と比較して、蒸散を厳密に制御しており、水分ロスを防ぐ新規な仕組みを持つと考えられた。そこで、ヒマ葉の顕微鏡観察を行い、蒸散が行われる気孔周辺の構造を観察したところ、気孔を形成する孔辺細胞直下にある葉内の間隙に、他の植物では見られない特殊な細胞を発見した。この細胞は気孔直下の間隙においてのみ観察された。この特殊な細胞の機能や働いている遺伝子を明らかにし、優れた高温・乾燥耐性システムの解明を目指す。
|
研究成果の概要 |
東アフリカを原産とするヒマ(Ricinus communis)はC3型植物であり、高温・乾燥地域に適したC4型植物でないにも関わらず、優れた高温・乾燥耐性を持つ。ヒマ葉では気孔を形成する孔辺細胞直下にある葉内の間隙において他の植物では見られない細胞が見られた。この特殊な細胞がサイズを変化させることで気孔に繋がる間隙の開閉を担うバルブとして機能することで、気孔の開閉と併せて2つの弁による厳密な制御を行っていると予測された。バルブ細胞の発現プロファイルから液胞膜のトランスポーターの発現を増加しており、液胞サイズを精密にコントロールすることで葉内のバルブとして機能していることが示唆された。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
世界的な気温上昇と水不足の懸念から、高温・乾燥環境下においても健全に生育する作物の作出に向けた基礎研究が盛んに行われている。本研究はヒマの持つ、C3型植物でありながら、極めて強い高温・乾燥耐性を持つという特殊な現象に注目し、既存のモデルにない全く新しい蒸散制御システムの一端を明らかにした。将来的には、イネ、コムギといった食料として極めて重要なC3型植物に新規な蒸散制御システムを導入することで、食料問題の解決に資する新規戦略の提供となる。本研究の進展は、基礎研究の発展のみならず、将来的な食糧問題の解決に貢献するものになると考える。
|