研究課題
挑戦的研究(萌芽)
各生物の発現が安定していると期待される遺伝子のプロモーターになりそうな領域をクローニングし、蛍光タンパクとの融合遺伝子を作成し、様々な方法で遺伝子導入を試みる。パーティクルボンバードメント法、エレクトロポーレーション法、マイクロインジェクション、アグロバクテリウム法を試みる。蛍光タンパク質の発現が検出できるようになったら、蛍光タンパク質のかわりに薬剤耐性遺伝子をもつコンストラクトで薬剤耐性株の選抜を行う。各生物においてU6 RNAの遺伝子を同定し、そのU6プロモーターでガイドRNAを、また異なる遺伝子のプロモーターでCas9及び薬剤耐性遺伝子を発現させることで遺伝子破壊を試みる。
ストレプトファイツ類の代表的な系統について形質転換法を確立することはストレプトファイツ類の進化を理解するために重要である。シャジクモChara brauniiについてはパーティクルボンバードメントによる一過的な遺伝子発現に成功した。コレオケーテ Coleochaete scutataについては、その後発生をさせることができる単細胞である遊走子を再現性良く作らせることができる条件を見出した。クロロキブスについてはChlorokybus riethii NIES-160株を無菌化し参照ゲノムを揃え形質転換の準備ができた。いずれもハイグロマイシンによって野生株を死なせることができる条件を確立した。
ストレプトファイツ類が進化する中で約5億年前に陸上植物が生まれた。これまでの比較ゲノム解析によって、進化の過程で遺伝子が獲得されあるいは配列が異なってきていることがわかる様になっている。しかし、陸上植物以外のストレプトファイツ類ではヒメミカヅキモ以外形質転換法が確立されておらず、形質転換系を確立する基礎条件の整備は今後の学術の進展に貢献すると期待される。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
New Phytologist
巻: 237 号: 5 ページ: 1636-1651
10.1111/nph.18662