研究課題/領域番号 |
19K22449
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
岩田 智也 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (50362075)
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研究分担者 |
野田 悟子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80342830)
谷田 一三 地方独立行政法人大阪市博物館機構(大阪市立美術館、大阪市立自然史博物館、大阪市立東洋陶磁美術館、大阪, 大阪市立自然史博物館, 外来研究員 (20167505)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 酸性河川 / 化学合成 / 食物網 / 硫黄酸化細菌 / 水生昆虫 / 化学合成生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
暗黒、低温、高圧の深海において、化学合成独立栄養微生物の有機物生産によって支えられた生物群集が1970年代に発見された。しかし、太陽光に依存しない完全化学合成生態系は海洋以外では殆ど報告されていない。本研究は、火山フロントに位置する酸性河川において地表では初の完全化学合成生態系の存在を示すことを目的とする。さらに、化学合成有機物の陸上食物網へのフローも定量し、地圏-水圏-陸圏リンケージを解明する。
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研究成果の概要 |
秋田焼山周辺の火山地帯を流れる酸性河川では、光合成由来の餌資源が少ないにも関わらず、カワゲラ目や双翅目などの水生昆虫がきわめて高密度に生息していることが本研究により明らかとなった。この特異な底生生物群集を支える一次生産者は硫黄酸化によってエネルギーを得る化学合成細菌であり、水生昆虫はこれら微生物を環境中から採餌しているだけでなく、共生する硫黄酸化細菌が生産した有機物を同化することで栄養を摂取している可能性も示された。本研究により、地圏エネルギーに支えられた化学合成生態系が光のあたる地表環境に存在していることが明らかとなった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、太陽光の注ぐ地表において光エネルギーに依存しない生態系の存在を世界で初めて示すことができた。これまで深海や地底湖でのみ確認されていた化学合成生態系が地表にも存在することが明らかとなり、生物地球化学、生態学、進化学的にきわめて学術的価値の高い発見と言える。火山性温泉が流入する河川では、硫黄酸化細菌によって支えられた動物群集がきわめて狭い範囲に成立・分布しており、その特異性と希少性から保全上の価値はきわめて高い。火山や温泉が支えるユニークな生態系として、本研究で明らかにした化学合成生物群集の発見は学術的・社会的意義が大きく、火山国である我が国の生態系管理策に資する知見となるだろう。
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