研究課題/領域番号 |
19K22452
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
一柳 健司 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (70401560)
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研究分担者 |
今村 公紀 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (80567743)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | エピゲノム / 進化 / iPS細胞 / レトロトランスポゾン / 転写因子 / 神経前駆細胞 / 霊長類 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、ヒト固有形質の獲得に至った進化メカニズムをエピジェネティクスおよび発生学的な観点から理解することである。特に他のヒト科霊長類には見られない筋肉や神経の形質に着目し、成人・成獣における違いが発生過程でどのように生じるのかを明らかにする。 そこで、ヒトとチンパンジーのiPS細胞を出発点とした筋細胞や神経細胞への分化誘導系を用いて、細胞分化過程でトランスクリプトームやエピゲノムがどのように変遷するのかを種間で比較する。さらに、ゲノム編集技術を用いて、エピゲノム種間差がゲノム配列の違いによるかどうかを検討し、エピゲノム変化の分子基盤の解明も目指す。
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研究成果の概要 |
ヒト特異的な形質の発生起源を理解するには近縁種との比較が有効である。本研究では、京都大学霊長類研究所のチンパンジ個体からiPS細胞を樹立し、その分化能、トランスクリプトーム、エピゲノムといった細胞状態をヒトiPS細胞と比較した。これらの観点ではヒトとチンパンジーのiPS細胞で大きな違いはなかった。そこで、次にiPS細胞をニューロンに分化させるプロトコールを確立した。この分化誘導系を用いて、ヒトとチンパンジーのニューロン発生過程にどのようなエピゲノムの違いが生じ、どの様な細胞性質の違いが生じるかを明らかにする素地を作ることができたと考えている。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒト特異的な形質や形態の理解には近縁種と発生学的な観点から比較する研究が有用であるが、実際の発生過程を解析することは困難である。ヒトiPS細胞およびチンパンジーを含む非ヒト霊長類のiPS細胞を用いた比較解析研究は新たなヒト進化学の方法として注目されている。本研究によって、ヒトとチンパンジーのiPS細胞の状態は大きく変わっていないことが確認され、これらを用いいることにより、さまざまな分化誘導実験と比較解析が可能になった。また、ニューロンへの分化誘導系も着実に確立することができた。これは他の霊長類のiPS細胞を用いても同様に分化させることができる可能性を示している。
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