研究課題/領域番号 |
19K22457
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
佐藤 拓哉 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (30456743)
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研究分担者 |
岩谷 靖 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (10400300)
武島 弘彦 総合地球環境学研究所, 研究部, 外来研究員 (50573086)
佐倉 緑 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (60421989)
橋口 康之 大阪医科大学, 医学部, 講師 (70436517)
入谷 亮介 国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 研究員 (10843980)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2019年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 宿主操作 / ハリガネムシ / トランスクリプトーム解析 / 水平偏光 / 生体アミン / トランスクリプトーム |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者はこれまで、宿主操作が捕食-被食関係を強めることで、生態系内外のエネルギー流を劇的に改変することを発見し、それが生物群集・生態系機能に及ぼす波及効果を世界に先駆けて実証してきた。研究代表者らはさらに、寄生者が中間宿主の行動を抑制化した後に活性化することが、激しい活性化操作をする(=劇的なエネルギー流改変を生じさせる)寄生者が自然界で維持される仕組みになることを、理論モデルに基づいて提唱した。本研究では、寄生者による行動抑制化から活性化へのシフトの有無と程度を、行動実験、神経生理学的解析・遺伝子発現解析、および数理モデル解析を統合するアプローチで検証する。
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研究成果の概要 |
ハリガネムシ類と宿主の相互作用系をモデルシステムとして、「宿主の行動抑制と活性化の強度」と「行動抑制から活性化への切替タイミング」を規定する仕組みを詳細な行動実験と神経生理学的解析・遺伝子発現解析を統合するアプローチで解析した。行動実験からは、ハリガネムシに感染したカマキリで、行動抑制化と活性化を示唆するデータを得た。そのような行動変化の原因となりうるいくつかの生体アミンを宿主脳内で確認し、それらと遺伝子発現量の対応関係を解析した。 また、寄生生物であるハリガネムシ類が、宿主の水平偏光感受性を高めることで、通常では考えられない陸生昆虫の入水行動を生起している可能性を世界で初めて発見した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物が有する多様な光受容システムは、採餌・逃避・繁殖・移住等の多岐に亘る行動制御に関わっている。しかし、寄生生物が光の強度・波長・偏光のいずれに関する光受容システムを標的にしているかを特定した研究は皆無であり、光走性の改変による行動制御の分子・神経機構は未解明であった。本研究では、寄生生物が宿主の偏光感受性を改変している可能性を世界で初めて見出した。この発見により、光受容システムの操作機構と行動の因果関係から、生態系レベルの高次生物機能であるエネルギー流を予測・制御できる可能性が見出された。
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