研究課題/領域番号 |
19K22461
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
土岐田 昌和 東邦大学, 理学部, 准教授 (80422921)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | ヘビ / 赤外線受容 / ピット器官 / 発生 / 進化 / マムシ / 神経回路 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では赤外線感知能力を獲得し、暗黒の中で温血動物を捕らえるといったユニークな適応行動を進化させたヘビの一種であるマムシの胚を材料に用いて、その頭部にみられる赤外線受容器官(ピット器官)と赤外線受容能を持つ特殊な神経細胞から構成される赤外線受容神経回路の形成機序を調べる。これにより、動物の適応的な行動が生み出される際に起こる大規模な神経回路の再編成の背景にある分子・細胞基盤の理解をめざす。本研究には、神経回路再編成と生物進化との関連性を探究する進化生物学の新たな研究領域の開拓や医療・工業分野で利用される高精度温度センサーデバイス開発の期待が寄せられる。
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研究成果の概要 |
本研究では、ニホンマムシ(Gloydius blomhoffii)の胚頭部における温度感受性チャネルTRPA1の遺伝子の発現パターンをin situハイブリダイゼーションにより調べることで、マムシ亜科のヘビにおける赤外線受容神経回路形成を記述することを目指した。解析により、マムシ胚においてTRPA1遺伝子が赤外線受容神経回路を構成するIR-ニューロンに分布することを確認したが、その発現量は極めて少なく、in situハイブリダイゼーションで高精度の染色像を得るのは難しく、論文で報告できる水準の確度が高い結果は現時点では得られていない状況であるため、今後は実験方法の改善等が求められる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物の成長過程、つまり“個体発生”で見られる神経回路再編成についてはすでに多くの知見が得られているが、“系統発生”の視点から神経回路再編成の動態とそのメカニズムを探求した研究はほとんどなく、この点で本研究の挑戦的研究としての学術的意義は高いと言える。本研究を通して、神経回路再編成と生物進化との関連性を探究する進化生物学の新たな研究領域を開拓する土台も作ることができた。また、本研究を通じて赤外線受容神経回路の創出機構の一端が明らかにされたことで、医療・工業分野で利用される高精度温度センサーデバイスの開発にも少なからず貢献できる可能性がある。
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