研究課題/領域番号 |
19K22470
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分46:神経科学およびその関連分野
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
井上 謙一 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (90455395)
|
研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2019年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
|
キーワード | 神経科学 / 脳・神経 / バイオテクノロジー / ウイルスベクター / 霊長類 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではマカクザルとマーモセットを対象として、キャプシド改変型AAVベクターの静脈内投与と、マイクロバブルと経頭蓋超音波照射を利用したBBBの一過性破壊などの導入法により、霊長類脳において、非侵襲的かつ目的とする領域(あるいは部位)選択的な遺伝子操作を実現する手法を確立することを目指す。このために(1)静脈内投与における霊長類脳への遺伝子導入に適した改変AAVベクターの開発、(2)経頭蓋収束超音波照射(tFUS)を利用した、ターゲット選択的な遺伝子導入法の開発、(3)経頭蓋超音波照射を利用した、霊長類における全脳的な遺伝子導入法の開発、の3つの研究計画を遂行する。
|
研究成果の概要 |
本研究では、ヒトに近縁なモデル動物であるサル類において、非侵襲的に、目的とする脳部位への遺伝子導入を実現するための研究を行なった。本研究ではまず、新生児への静脈内投与により全脳的なニューロンへの遺伝子導入を可能とするキャプシド改変アデノ随伴ウイルスベクターの開発に成功した。また、スペインHM CINACとの共同研究により、経頭蓋収束超音波照射を利用した血液脳関門(BBB)の一過性開放により、効率に改善の余地はあるものの、成体マカクサルにおいて特定脳領域への遺伝子導入を実現した。本研究ではさらに、これらの系に細胞種特的プロモーターを応用し、細胞種特異的な遺伝子発現を実現することに成功した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
発生工学を利用せず、ウイルスベクターによって霊長類における領域特異的、あるいは全脳的なニューロンへの遺伝子導入を実現するという本研究の成果は、選択的な遺伝子操作系など幅広い応用が可能な先端的技術となると考えられ、遺伝子改変霊長類疾患モデル動物の作出という観点から、精神・神経疾患の病態解明と治療法の開発に極めて大きく寄与すると考える。また、非侵襲的に目的とする領野に選択的な遺伝子導入を可能にする本研究の成果は、遺伝子治療法の開発の上で重要な知見を与えるものであり、特に遺伝子疾患の有効な治療法の開発研究に大きく貢献できる。
|