研究課題/領域番号 |
19K22500
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
津田 誠 九州大学, 薬学研究院, 教授 (40373394)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2019年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 慢性掻痒 / 脊髄後角神経 / ケモジェネティックス / マウス |
研究開始時の研究の概要 |
アトピー性皮膚炎等に伴う慢性的な痒みは,過度の肉体疲労や精神的ストレスを起こし,QOL低下の原因となる。従来,痒みは弱い痛みシグナルで起こるとされ,痒みの神経化学的理解は非常に遅れていた。近年,脊髄後角のガストリン放出ペプチド受容体GRPRが痒みの伝達に重要であることが報告され,現在,脊髄後角の痒みシグナル伝達はGRPRに収束するモデルが主流となっている。しかし,それ以外の痒み伝達経路はまだ明らかになっていない。代表者は最近,慢性掻痒モデルの脊髄後角で発現増加する因子Xを特定した。本研究では,脊髄後角での痒み神経伝達における因子X陽性神経の役割を明らかにし,新しい痒み伝達経路の特定を目指す。
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研究成果の概要 |
従来,痒みは弱い痛み信号で伝達されると考えられていたため,痒みの神経化学的理解は非常に遅れており,慢性的な痒みのメカニズムも解明には程遠い状態である。本研究では,脊髄後角での因子Xを発現する神経サブセット(因子X陽性神経)の役割を検討し,同神経の活性化によって,ガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)を介したシグナルに依存しない痒み関連行動が誘発されることを明らかにした。さらに,因子X神経除去により,複数の急性および慢性掻痒モデルでの痒み行動が抑制された。したがって,脊髄後角での因子X陽性神経は痒み信号の伝達に重要な新しいサブセットであり,急性および慢性掻痒に広く関与することが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
2000年代後半から脊髄後角での痒み選択的な神経伝達と処理機構に関する論文が相次いで報告されたが,いずれもGRP-GRPRシグナルに収束するモデルである。本研究では同シグナルを介さない,新しい痒み伝達神経回路の存在を示唆した点に学術的意義がある。さらに,アトピー性皮膚炎などの慢性掻痒に著効する医薬品はないことから,本研究の成果は画期的な創薬への扉を開く可能性があり,社会的意義もある。
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