研究課題/領域番号 |
19K22511
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
後藤 幸織 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (10645584)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2020年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2019年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 依存症 / 認知機能 / 情動機能 / 攻撃性 / 意思決定 / ドーパミン / エピゲノム / 前頭前皮質 / 環境刺激 / アイトラッキング / 認知バイアス / 自己認識 / 進化 / 訓化 / セロトニン |
研究開始時の研究の概要 |
薬物・行為依存症は、依存性薬物の摂取や特定の行為に対して制御不能となる脳神経機能の変化をともなう精神障害である。依存症に対する効果的な治療法はまだ存在せず、そのメカニズムの理解と治療法の開発は喫緊の課題である。現在、広く受け入れられている依存症のメカニズムの説は、強い報酬の繰り返しによる動機付けられた欲求に対する抑制機能の障害、または強固な動機付けられた習慣形成である。しかし、従来の説では依存症と密接な関係があることが示唆されている攻撃性などの説明が困難である。本研究では、進化論的な視点から仮説を立て、依存症の病理生理学に関する新しい知見を得ることを目的とする。
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研究成果の概要 |
本研究では、行為嗜癖(行動依存症)患者を対象に、その認知・情動・生理学的特徴を、神経心理学的手法を用いて調査した。その結果、行為嗜癖においても、前頭前皮質の活動と関連する確率判断の障害や、健常者よりも高い不安、ストレス、抑うつ傾向などの負の情動といった認知・情動機能障害が関わっていることが見出された。また、行為嗜癖では、薬物依存と共通するような血中モノアミン量の変化や、シナプス伝達や免疫系に関連する遺伝子のDNAメチル化が健常者と異なっているといった生理学的特徴も見出された。これらのことから、行為嗜癖の生物学的基盤は、薬物依存症と共通している部分があることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、ゲーム障害やインターネット依存など、行動嗜癖(行動依存症)に注目が集まっている。しかし、行動嗜癖の概念自体は近年登場した新しいものであり、例えば他の精神障害のカテゴリー強迫性障害との区別も曖昧であり、未だ十分な知見は得られていない。また、行動依存症を特徴づけるような神経メカニズムの知見はなく、これまで研究の進んできた物質に対する依存症との共通点・相違点も明らかになっていない。本研究において、我々は、行動嗜癖の認知機能、情動機能、ならびに生理学的特徴は、薬物依存症と多くが共通することを見出し、行動嗜癖の依存症としての位置づけを発展させた。
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