研究課題
挑戦的研究(萌芽)
げっ歯類の精子幹細胞研究の進展に伴い、海外ではヒトの精子幹細胞研究に興味が高まっている(Nat Med 2013;19:958)。しかしながら、ヒトの精子幹細胞についてはこれまでほとんど研究されておらず、その同定すら困難である。幹細胞は機能的にしか同定できないため、ヒトの精子幹細胞の機能的アッセイの同定は重要な課題である。そこで本研究ではこの問題を解決するためにヒト精子幹細胞のin vivoもしくはin itroの機能的アッセイ系の確立を目指すと共にヒト精子幹細胞の試験管内での自己複製の再現を試みる。
ヒト精巣を用いて精原細胞の培養を開始するために、精巣細胞を酵素処理により回収する方法の開発を行った。マウス精原細胞の発現する遺伝子データを参考にしてヒト細胞に対するモノクローナル抗体をスクリーニングした結果、Epha2遺伝子がヒト精原細胞にも発現することが確認し、効率よくヒト精原細胞を回収することに成功した。次に回収された細胞を用いて培養を行った結果、ヒト精原細胞マーカーを発現する細胞の増殖を二種類の培養条件で確認することが出来た。しかしながら、これらの細胞はトリプシン処理により細胞死を起こすために機能解析が困難であった。そこで我々は機能活性を調べるための新しい手法を現在検討している。
癌治療成績の向上に伴い、小児の約7-8割の患者が生存し、20代の若者250人に一人が癌治療の生存者である。ところが、治療の副作用として半分程度の患者が不妊となっている。ヒト精子幹細胞の培養が成功すれば、この細胞をがん治療前の患者さんの精巣から回収し、試験管内で増幅したのちに治療後の精巣に移植するすることで妊孕性を回復することができると期待されている。今回の研究によりヒト精子幹細胞の培養条件が改善し、近い将来ヒトへの応用も可能になると期待できる。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 3件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)
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