研究課題
挑戦的研究(萌芽)
不安などの負の情動は、ストレスとなり、臓器機能を乱し、病気を誘発もしくは病状を悪化させることがある。逆に、喜び、楽しみなどの正の情動は、ストレスを抑制して臓器機能の向上を引き起こすことがある。近年、申請者は、特異的な神経回路の活性化により局所炎症が誘導される「ゲートウェイ反射」を発見し、血管を介した神経系と免疫系の機能連関と免疫病の発生機構に新たなページを加えた。本計画では、「ストレスとは何か?」との根本的な疑問を免疫学的に細胞・分子レベルにて理解することに挑戦し、「ストレス免疫学」を創生する。
申請者は近年、ミエリンに対する自己反応性CD4+T細胞の血中存在下でストレス特異的な神経回路が活性化すると、脳内の特定血管に微小炎症が発生し、上部消化管炎症や突然死を誘導することを発見した。本研究ではまず心理面にも影響を及ぼす光刺激に着目した。強い光刺激では交感神経の脱感作作用にて網膜におけるゲートウェイ反射が抑制され、炎症病態が抑制された。さらに、ストレスが病態を悪化させる例である腎移植後拒絶反応に着目し、腎尿細管上皮細胞から炎症に関わるSTY17とORM1が尿中に多く分泌されることを明らかにし、高感度な炎症マーカーとして同定した。
負の情動はストレスとなり、臓器機能を乱し、病気を誘発・悪化させる。逆に、正の情動は、ストレスを抑制して臓器機能の向上を引き出す。本研究ではこの日常的なストレスによる臓器機能の制御メカニズムの一端を明らかにした。特に、明るい光によりぶどう膜炎を抑制する機構は、ゲートウェイ反射の抑制系の機構であり、血液関門によって隔絶されている中枢神経や網膜といった臓器における炎症病態を環境刺激によって抑制可能であることを示す。尿中ストレスマーカーは包括的なストレス関連疾患の把握につながる。こうしたストレス免疫学の創生はストレス関連疾患の予防・治療につながるという点で社会的意義がある。
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