研究課題/領域番号 |
19K22536
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
林 哲也 九州大学, 医学研究院, 教授 (10173014)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2020年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | リケッチア / ゲノム解析 / プラスミド / ICE / 接合伝達 / 遺伝子改変系 / トランスポゾン / 遺伝解析系 / 必須遺伝子 / 遺伝子改変技術 / 偏性細胞内寄生菌 |
研究開始時の研究の概要 |
他の偏性細胞内寄生菌と同様に、リケッチアの解析は取扱いの煩雑さ等のために大きく遅れている。本研究では、日本紅斑熱リケッチアの非病原性近縁種に接合伝達系をコードするプラスミド(pLON)が存在するという我々自身の発見に基づいて、偏性細胞内寄生菌にもプラスミド接合伝達系が存在することを証明し、pLON接合伝達能を活かしたトランスポゾン(Tn)挿入変異導入系の開発を試みる。この変異導入系が確立できれば、リケッチアの細胞内増殖に必要な遺伝子の網羅的探索が可能となり、「大規模なゲノム縮小が生じている偏性細胞内寄生菌で、どの程度の遺伝子が実際に必須であるのか」という大きな学問的な問いに挑むことができる。
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研究成果の概要 |
本研究では、新規リケッチア菌種(Ca. Rickettsia longicornis)とそのプラスミド(pRlon)を解析対象として、偏性細胞内寄生菌でのプラスミド接合伝達系の存在の証明、pLON接合伝達能を活かした遺伝子改変系の開発とこれを用いた細胞内増殖必須遺伝子の網羅的な同定を試みた。その結果、染色体上RAGE(ICEの一種)にもpRlonと異なる接合伝達系が存在することが明らかになったが、他のリケッチアのRAGEやプラスミドとの比較解析の結果、pRlonを含む全ての接合伝達系には複数の偽遺伝子化が認められ、現存するリケッチアの接合伝達系は機能を失っていることが明らかになった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、偏性細胞内寄生菌であるリケッチアの新菌種のゲノム解析によって見出したプラスミドに着目し、これまでに報告の無い偏性細胞内寄生菌での接合による遺伝子伝達系の存在の証明、さらにこのプラスミドの接合系を利用したリケッチアでの遺伝子改変系の開発とこれを用いた増殖必須遺伝子の網羅的同定に挑戦した。染色体上のRAGEと呼ばれる遺伝因子上にも新たな接合伝達系を同定できたが、既知のリケッチアのRAGEやプラスミドと比較解析を行った結果、解析した全ての接合系には複数の偽遺伝子(失活した遺伝子)が存在することが明らかとなった。この知見は、現存するリケッチアの接合伝達系は機能を失っていることを示唆する。
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