研究課題
挑戦的研究(萌芽)
RBがん抑制遺伝子は、悪性化した前立腺がんの15~20%においてホモ欠失する。我々は、RBの近傍に位置するSUCLA2という遺伝子がこの欠失に高頻度に巻き込まれることを見出した。SUCLA2は重要な代謝酵素をコードしており、この欠失は、がん細胞になんらかの代謝脆弱性を与えるはずである。本研究では、SUCLA2欠失と合成致死性になる遺伝子を探索する。また、SUCLA2欠失細胞を特異的に傷害する化合物を探索する。がんに特異的な代謝遺伝子ゲノム異常を標的とすれば、スペクトルが絞られ、副作用の無いがん治療薬の開発が可能になるかも知れない。
前立腺がんにおいて10-30%程度の頻度で起こるRB1遺伝子領域のホモ型欠失にその近傍に位置するSUCLA2遺伝子が極めて頻繁に巻き込まれることが判った。SUCLA2をノックアウトすると実際に様々な代謝脆弱性が発現した。これは治療戦略上重要なアキレス腱となり得ると考えた。SUCLA2遺伝子欠失を標的とした化合物ライブラリーのスクリーニングを行い、いくつかのヒット化合物を得た 。このうちチモキノンの研究開発に注力し、構造展開と分子標的同定を行った。また、SUCLA2遺伝子欠失の診断法の開発とバイオマーカーの探索を目指した。
進行前立腺がんの治療には抗アンドロゲン薬等が用いられるが、その効果は限定的であり、新しい治療法の開発が待望されている。進行前立腺がん多くにおいてSUCLA2のホモ型ないしヘテロ型欠失が存在し、しかも、これを治療標的にできるという我々の発見は、前立腺がん治療の新しいパラダイムを拓いたとともに、がん特異的な代謝異常を標的としたがん治療が可能であることを示唆した。これは多くの種類のがん治療に応用することのできる概念・方法論である。
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