研究課題/領域番号 |
19K22559
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
北川 雅敏 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50294971)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 相同組換え / X染色体 / 相同組換え修復 / 性差 / 女性腫瘍 / ES細胞 / X染色体不活性化 |
研究開始時の研究の概要 |
我々の予備研究結果から、メスのES細胞はオスに比べてDNA2本鎖切断を相同組換え修復できにくいことが示唆された。ES細胞やiPS細胞だけでなく、ヒト乳がん細胞でもある程度の頻度で両X染色体が活性化状態(XaXa)にある。XaXaであるがん細胞はHRR能が抑制されている可能性が高く、DNAの切断や変異が修復され難く、悪性度の上昇を来す可能性が高い。本研究ではこの現象をさらに検証する。また、X染色体性相同組換え抑制遺伝子(XHIG)の同定を試みる。さらに女性腫瘍のX染色体活性化状態、XHIG発現量、悪性度との相関等を解析し、女性腫瘍発生進展の分子機構の理解と克服を目指す。
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研究成果の概要 |
哺乳動物の体細胞では、片側X染色体が不活性化(XaXi)している。一方で未分化細胞は両X染色体が活性化状態(XaXa)を呈す。本研究では(1)同一親マウスからオス、メスES細胞を樹立し、メスがオスより相同組換え修復能(HR)が低下していることを証明した。さらに (2)Dox誘導性Xistを導入したメスES細胞を用い、XaXi(Dox(+))でオスと同程度にHR活性が回復することを証明した。 (3) X染色体上にあり相同組換え修復の抑制に働くBRCC3がメスで高発現し、HR抑制に関与することを証明した。(4)ヒト乳がんと患者の予後に創刊していることを見出した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果はヒトの女性乳がんにおけるin silico解析で、両X染色体の活性化を示唆するXistが低発現の患者の予後が不良で、両X染色体の活性化により発現亢進するBRCC3の高発現の患者の予後が不良であることが示唆された。このことは乳がんなどの女性腫瘍で両X染色体が活性化している場合は、BRCC3の発現が亢進することで相同組換え修復が低下し、変異の蓄積やゲノムの不安定性が高まり、悪性亢進の可能性が高まることが予想される。本研究成果は女性がん細胞においては、X染色体の活性化やBRCC3の発現を指標にした新たな予後予測が可能であることを示唆しており、さらに検証を進めていく予定である。
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