研究課題/領域番号 |
19K22560
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
木村 宏 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30303621)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2019年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | EBウイルス / miRNA |
研究開始時の研究の概要 |
Epstein-Barr virus (EBV) は、ほとんどの成人に感染している普遍的なウイルスであるが、様々なリンパ腫/白血病の原因ともなる。ありふれたEBVがなぜ一部の個体にのみリンパ腫を引き起こすのかについては謎である。我々はEBV関連リンパ腫患者に対して、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析を行い、高率にEBV遺伝子の一部が欠失すること、そしてこの欠失はウイルスがコードするmiRNAの領域に集中していることを発見した。本研究では、ウイルスmiRNAを欠損した組換えEBVを作成し、ヒト化マウスを用いたin vivoモデルでmiRNAの役割を解明する。
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研究成果の概要 |
近年、我々はEBV関連リンパ腫患者では、高率にEBV遺伝子の一部が欠失することを発見した。最も高頻度に欠失していたウイルスmiRNAを含む領域を欠く組換えEBVの作成を試みたが、作成したウイルスはいずれも感染性を欠いたため、感染実験に至らなかった。次いで2番目に欠失が集中していたBALF5 (viral DNA polymerase) を欠失させた変異EBVを作成し、感染により樹立したヒトB細胞株を免疫不全マウスに移植したところ、BALF5欠失EBVでは野生株に比してリンパ腫形成能が増していた。また、BALF5欠失B細胞株は野生株に比べ前初期/初期遺伝子が亢進していた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
期間内にmiRNA欠失の果たす役割の解明は果たせなかったが、欠損ウイルスでは、EBV前初期遺伝子/初期遺伝子の発現亢進により、宿主細胞増殖と染色体不安定性が促進され、ドライバー遺伝子変異の蓄積、エピジェネッティック修飾が加わり、リンパ腫/白血病と変容すると考えている。欠損ウイルスの腫瘍化機構が明らかになれば、EBV関連リンパ腫のみならず上咽頭がん・胃がんなどEBV関連上皮系腫瘍に共通する分子機構、さらには他の腫瘍ウイルスの発がんメカニズムが解明できる可能性がある。
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