研究課題/領域番号 |
19K22562
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
内藤 尚道 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (30570676)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2019年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 腫瘍血管内皮細胞 / 血管新生阻害療法 / 細胞多様性 / 薬剤耐性 / 血管内皮幹細胞 / 一細胞遺伝子発現解析 / 内皮細胞多様性 / 血管新生 / 内皮幹細胞 / 多様性 / 血管新生阻害剤 |
研究開始時の研究の概要 |
腫瘍の増大には、腫瘍細胞を栄養する血管が必要である。腫瘍血管を阻害することで腫瘍の縮小を目指す血管新生阻害療法が臨床応用されている。しかし、現在応用されている血管新生阻害剤の治療効果は限定的で、新たな治療法の開発が望まれている。腫瘍血管を構築する腫瘍血管内皮細胞は、これまで均一な細胞集団であると考えられていた。しかし腫瘍血管内皮細胞には、未知の多様性が存在し、高い増殖能と薬剤耐性能を示す「幹細胞様」の性質を持った特殊な内皮細胞が存在する可能性が、これまでの研究結果から示唆されている。本研究では、一細胞遺伝子発現解析を通じて腫瘍血管内皮細胞の多様性を解析することで、新たな治療法の開発に挑戦する。
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研究成果の概要 |
本研究ではマウス腫瘍モデルを用いて、腫瘍血管を構築する全血管内皮細胞を1細胞レベルで遺伝子発現解析を行い、腫瘍血管内皮細胞の多様性を解明することを目的とした。これまで血管内皮細胞は全て均一であると考えられてきたが、本研究で実施した1細胞遺伝子発現解析の結果、血管内皮細胞の遺伝子発現は多様性に富むことが明らかになった。また腫瘍血管内皮細胞には正常組織の血管内皮細胞とは明らかに遺伝子発現が異なる細胞集団が存在することが明らかになった。その腫瘍特異的血管内皮細胞集団で高発現している遺伝子と発現低下している遺伝子を同定した。今後これらの遺伝子を標的として、新たな血管新生阻害剤が開発できる可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
高齢化社会を迎えた日本において効果的ながんの治療法の開発は、生活の質を向上させるために取り組むべき重要な課題である。腫瘍が増大するためには、腫瘍を栄養する血管が必要である。この腫瘍血管を標的とした治療薬は既に臨床応用されているが、その効果は未だ不十分である。本研究により、腫瘍血管内皮細胞の多様性が明らかとなり、さらには腫瘍血管に特異的な血管内皮細胞集団を同定することができた。今後、同定した血管内皮細胞を標的とする新たな血管新生阻害剤の開発につながる可能性が期待でき、学術的にも社会的にも意義のある成果を得た。
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