研究課題/領域番号 |
19K22571
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
高橋 暁子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 細胞老化プロジェクト, プロジェクトリーダー (60380052)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2021-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2020年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2020年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2019年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 細胞老化 / 細胞競合 / がん抑制 / SASP |
研究開始時の研究の概要 |
細胞老化は正常な細胞が持つ重要ながん抑制機構として働く一方で、様々な炎症性蛋白質を分泌するSASPをおこすことで、がんを誘発する副作用があることが明らかになってきた。近年、正常上皮細胞に発がんストレスが加わると、まず細胞競合によって異常細胞が上皮層から選択的に排除される新しいがん抑制機構の存在が示されつつある。これら二つのがん抑制機構(細胞老化と細胞競合)は生体内の同一組織で同時におこっている可能性が高いが、細胞競合の詳細な制御機構はこれまで殆ど知られていない。本研究は、老化細胞分泌因子(SASP因子)による細胞競合の制御という未知の生命現象の解明に挑む研究課題である。
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研究成果の概要 |
細胞老化と細胞競合はどちらもがん遺伝子の変異が引き金になるがん抑制機構であるが、その関連性はこれまで殆ど知られていない。本研究課題では、老化細胞が分泌するSASP因子の中から細胞競合を制御する因子のスクリーニングを行い、その責任因子を同定した。さらにマウスモデルを用いて検証した結果、SASP因子存在下では肝臓における細胞競合が阻害されること、さらに責任因子の阻害剤を投与することで変異細胞の上皮層からの排除が促進されることを明らかにした。つまり、老化細胞が分泌するSASP因子は細胞競合を抑制することで加齢に伴うがんの発症率の上昇に関与している可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
老化細胞が分泌するSASP因子による、もう一つのがん抑制機構である細胞競合の抑制という生命現象は、現在までに全く報告のない新規のがん制御機構であり、本研究成果は腫瘍生物学における新しいコンセプトの創成となった。 さらに、将来的に細胞競合や細胞老化といったがん抑制機構を標的とした治療戦略を立てる上で重要な知見を提供し、今後SASPを制御することで細胞競合をも制御できる可能性に繋がり、臨床的な応用研究に発展する可能性が高い。
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