研究課題/領域番号 |
19K22578
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
華山 力成 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (40403191)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2020年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | エクソソーム / 神経膠腫 / ミクログリア / 血管新生 / サイトカイン / ケモカイン / グリア細胞 / シナプス剪定 / 神経回路 / 再構築 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、神経回路の再構築制御を司る新たな制御因子として、神経細胞やグリア細胞由来のエクソソームに焦点を当て、その機能の分子基盤と生体内における役割の解明を目指す。発生過程のシナプス競合において、勝者が敗者のシナプスを淘汰する為にpunishment signalを放出すると考えられているが、その実体として、神経活動依存的に放出されたエクソソームの機能を検討する。また、グリア細胞由来のエクソソームは神経突起の発達を促進することが報告されていることから、エクソソームを介した細胞間ネットワークは、神経回路の再構築制御を司る可能性を持ち、その機能の分子基盤と生理機能・動態の解明を目指す。
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研究成果の概要 |
神経膠腫が分泌するエクソソームが、腫瘍関連分子WT1を周囲のミクログリアへと送達することで新たな血管を作り出し、腫瘍にとって浸潤・転移を起こしやすい環境を構築することを見いだした。まず、モデルマウスにおいて、神経膠腫によるエクソソーム産生を抑えることで、脳腫瘍サイズが縮小し、浸潤・転移が抑えられ、マウスの生存期間が延長することが判明した。次に、神経膠腫由来エクソソームが、周囲のミクログリアに取り込まれ、遺伝子発現を低下させることで、血管新生を促進することを示した。更に、WT1がヒト患者由来の神経膠腫由来エクソソームに含有されており、ミクログリアによる血管新生能を制御することを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
神経膠腫は脳腫瘍の中で最も悪性度が高く,集学的治療を施しても平均生存期間が約2年と非常に予後が悪い腫瘍である。本研究により、神経膠腫の進展における神経回路の再構築に、エクソソームが深く関与しており、その産生を抑えることで、腫瘍の浸潤・転移を抑えることができる可能性が示された。今後、神経膠腫の早期発見や予後診断、新たな治療法の開発へと研究が発展することが期待される。
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