研究課題/領域番号 |
19K22581
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
廣井 朋子 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 講師 (20238398)
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研究分担者 |
那和 雪乃 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 助教 (10549786)
大滝 正訓 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (20612683)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2020年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2019年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | エクソン・スキップ / 翻訳抑制 / TPH2 / 中枢型トリプトファン水酸化酵素 |
研究開始時の研究の概要 |
中枢神経の細胞においてセロトニンが不足すると、気分障害やうつ病などの原因となる。TPH2は、中枢神経細胞におけるセロトニン合成酵素であり、セロトニンの合成において必須なタンパク質である。TPH2遺伝子には、タンパク質への翻訳時に抑制的に作用する配列があるが、この配列の部分のみを取り除いた遺伝子を作製することによって、抑制が解除されてTPH2の産生量が上がるかどうか、培養細胞による実験で確認する。
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研究成果の概要 |
脳におけるセロトニン合成量を増加させることを目的として、合成の律速酵素であるTPH2の産生量を増加させるため、当初はTPH2のエクソン2をスキップさせることで自己翻訳抑制ドメインの一部を欠失させ、抑制作用を解除しようと試みた。ところが、エクソン2をスキップさせても発現抑制は全く解除されず、その原因として、エクソン3にこれまで発見されていなかった強力な自己翻訳抑制作用があることを見出した。その抑制作用は塩基配列依存性であり、転写には影響せず翻訳を抑制すること、アンチセンス側の配列でも効果があり、遺伝子翻訳領域に存在することが必要であることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
セロトニン作動性神経系の機能障害は、不安障害、気分障害など様々な疾患の原因となる。中枢型トリプトファン水酸化酵素(TPH2)は重要な創薬標的であるが、その転写制御機構は極めて複雑であり、未だTPH2発現量を増加させるための画期的な方法は見出されていない。今回見出された[翻訳領域に存在する翻訳抑制塩基配列]は、これまでの転写制御解明のための研究において、発現量が増加する結果を鮮明に得られなかった原因のひとつであると考えられる。これは今後の研究を進める上で重要な発見であり、転写制御機構の解明と並行して、この翻訳抑制機構を解明することが、TPH2発現量を増加させるために必須となろう。
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