研究課題/領域番号 |
19K22585
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
山本 慎也 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 主任研究員 (90371088)
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研究期間 (年度) |
2019-06-28 – 2022-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2021年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2020年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2019年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 脳温度 / 誘発電位 / 大脳皮質 / 神経科学 / 温度 |
研究開始時の研究の概要 |
生体の体温は、全体としてほぼ一定に保たれているが、局所的に見れば、さまざまな要因によって変動し得る。特に脳は神経細胞の活動に伴う熱の発生源であり、局所的な温度の変動が存在していると考えられる。しかし、このような局所的な温度変化が、神経活動にどのような影響を与えているのかは、未知の問題であった。本研究計画では、脳温度と神経活動の間には逆相関の関係性があるというプレリミナリーな実験結果に基づき、このような神経温度連関がどのようなメカニズムで作り出され、脳内情報処理においてどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目指す。
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研究成果の概要 |
脳温度が情報処理にどのような役割を果たしているのかは、未知の問題であった。本研究課題では、脳温度が神経活動に与える影響を解明するため、大脳皮質の局所温度を制御し、大脳皮質で生じる誘発電位がどのような影響を受けるか、その影響がどのような仕組みで生じているのか、検討を行った。その結果、大脳皮質の局所温度を制御し誘発電位を計測すると、脳温度と誘発電位の大きさは負の相関関係を示したが、GABA受容体アンタゴニスト投与により負の相関関係が打ち消され正の相関を示した。これらの結果から、脳局所温度の変化が誘発電位に対する、興奮・抑制性入力の貢献度のバランスを変化させている可能性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究成果は、脳温度の低下に伴い神経活動が増大することを示すとともに、その理由として、脳温度変化が誘発電位に対する興奮・抑制性入力の貢献度のバランスを変化させることに起因ものであることを示唆するものであった。これらの成果は、脳内情報処理に局所温度やその変化が関与する可能性を示唆するものであり、今後、脳内情報処理の解明への貢献が期待される。また、いくつかの神経精神疾患において、興奮抑制バランスとの関連が指摘されているが、温度というパラメータを通じてそれらの病態理解への貢献も期待される。
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